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| 土岐: |
実は今日、ここにお邪魔する前に大貫妙子さんとリハーサルを一緒してきたんですよ。WOWOWの番組企画で一緒に歌わせていただいて。すごく緊張しました(笑)。 |
| 長門: |
ああ、そうだったの(笑)。曲は何を歌ったんですか? |
| 土岐: |
はい、シュガー・ベイブの「いつも通り」を。大貫さんに“すごく難しい歌ですね”って言ったら、“そうなのよ。自分で作ったはいいけど、いざ歌ってみると本当に難しくて”って(笑)。 |
| 長門: |
あの曲は、コードとか、すごく凝っているもんね。スティーヴィー・ワンダーの奥さんのシリータの曲からヒントを得て作ってるんだよね。 |
| 土岐: |
そうだったんですね。 |
| 長門: |
シュガー・ベイブといえば、山下(達郎)くんとは小さい頃から、何度も会ってるんでしょ? |
| 土岐: |
そうですね。父親(土岐英史)がバックでサックスを吹いていたので、物心ついた頃には、達郎さんのライヴを観に行っていた記憶があります。 |
| 長門: |
ちなみにお父上は家では、どういう音楽を聴いていたんですか? |
| 土岐: |
ブラック・ミュージックばかりでしたね。よく覚えているのは、チャカ・カーンとか。昔からマーヴィン・ゲイのヴォーカルを聴きながら、サックスの練習をしていたみたいなんですよ。憧れの楽器奏者っていうのは特にいなかったらしんですけど、マーヴィン・ゲイには、すごく影響を受けたみたいです。 |
| 長門: |
お父上とは僕、年齢が一緒なんですよ。 |
| 土岐: |
そうなんですね! |
| 長門: |
音楽業界では、お父上のほうが大先輩だけどね(笑)。ちょうど僕が現場を離れた時期に、お父さんが山下くんのライヴやレコーディングでサックスを吹くようになったり、何度か(吉田)美奈子のライヴでお会いしたことはあったんだけどね。それが、たぶん’76年かな。 |
| 土岐: |
ちょうど私が生まれた年ですね(笑)。 |
| 長門: |
’76年生まれ?日本の名盤がたくさん生まれた年だね。美奈子の『FLAPPER』や、細野(晴臣)さんの『泰安洋行』、アッコちゃん(矢野顕子)の『ジャパニーズ・ガール』、山下くんの『サーカス・タウン』、(鈴木)茂の『LAGOON』……あとは、さっき話題にあがった、ター坊(大貫妙子)の『グレイ・スカイズ』も全部、同じ年にリリースされている。そう考えると、土岐さんは、まさに日本のポップスの申し子みたいな存在だね(笑)。 |
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| 土岐: |
いえいえ(笑)。でも、洋邦問わず自分が生まれた年に発表された作品には、好きなものが不思議と多いんですよ。 |
| 長門: |
ところで、お父さんが出演していたジャズのライヴも小さい頃から観にいってました? |
| 土岐: |
はい……たぶん(笑)。子供の頃の私にとっては達郎さんとか美奈子さんのライヴの方が楽しみだったんですよね。 |
| 長門: |
こうやって話を聞いていると、音楽的にはすごく恵まれた環境だよね。 |
| 土岐: |
本当にそうですよね。でも、そうやって当たり前のように、いつでも音楽と身近に接してきたので、自分が音楽が好きだとか、まったく意識したことがなかったんですよ。それで、小学校に入ると、クラスの友達がテレビの歌番組を観るようになって、アイドルの曲を歌いはじめるようになるんですけど、私は、それがどうしても好きになれなかったんです。今聴くと、純粋に“いい曲だな”と思えるものも、たくさんあるんですけど。当時は、子供心ながら、いわゆるアイドル的な歌い方に馴染むことができなくて。どこか異質なものを感じていたというか。 |
| 長門: |
そりゃそうだよね。小さい頃から山下くんとか美奈子の生歌を聴きながら育ってきたわけだから(笑)。 |
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