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| 長門: |
でも、亜美さんの様なスタンスの女性アーティストって、いそうでいないんじゃないかな。シンガー・ソングライターとして活動しながら、作家として他アーティストにも積極的に楽曲を提供して。他にはユーミンとかター坊(大貫妙子)ぐらいだよね。亜美さんの場合、楽曲提供だけじゃなく、プロデュース仕事も多いし。 |
| 尾崎: |
プロデュースのお仕事は、なし崩し的にそうなったことも多かったんです (笑)。楽曲提供のお話をいただいたら、ディレクターさんと一緒に曲の方向性を考えて、それをもとに曲を書いて、歌入れに立ち会ってヴォーカルのディレクションをして、今思えば、それってどう考えてもプロデューサーの仕事なんですけど(笑)。でも、それをきっかけに、自分しか見つけ出せない、そのアーティストの素敵なところを見つける喜びに目覚めましたね。 |
| 長門: |
それがプロデューサーという仕事の楽しみでもあるよね。 |
| 尾崎: |
たとえば松田聖子さんに曲を書くとなったら、聖子さんがテレビで歌っているときの姿や表情が頭に思い浮かぶんですよ。オートクチュールじゃないですけど、やっぱり、その人の身丈に合うような曲を作れたらいいなと思いますね。本人も知らないような、素敵なところを見つけてあげられたら大成功だなっていう。そういえば私、デビュー曲を頼まれるのも多かったんですけど、イメージチェンジのタイミングで曲を頼まれることが多かったんですよ。 |
| 除川: |
松本伊代さんとかですね。 |
| 尾崎: |
伊代さんは、まさにそうでしたね。「時に愛は」っていう曲を書かせてもらったんですけど。"本当にバラードでいいの?"って思ったんだけど、"ぜひバラードを歌わせたい"ってことで。伊代さんはね、雪の残る寒い日に、私の家にひとりでピンポーンって来てくれたことがあったんですよ。 |
| 長門: |
へえ、すごいですね。 |
| 尾崎: |
"どうしたら歌が上手に歌えるようになりますか?"って。 |
| 長門: |
可愛いなぁ(笑)。 |
| 尾崎: |
ねぇ、可愛いでしょう〜!(笑)腹式呼吸を教えましたけど(笑)。私が腹式呼吸をすごくできるわけじゃないんですけど(笑)、自分が知っていることとかを、少しでもアドバイスして、良くなってもらえたらなと思って。あと、自分が書いた曲を他人に提供するってことは、ある意味、"嫁入り"させるようなものなので、大金持ちから、そうでない家まで嫁ぎ先もいろいろあるんですね(笑)。お金持ちの家に嫁がせるときも、それはそれで心配なんです。"他にもいっぱい綺麗なものを見てるなかで、うちの"子"だけ可愛がってもらえなかったら、どうしようかしら..."とか(笑)。 |
| 長門: |
そういえば、亜美さんには、僕が制作担当した薬師丸ひろ子ちゃんのアルバム(『シンシアリー・ユアーズ』1988年)に新曲書いてもらったことありましたね。 |
| 尾崎: |
はい。「雨は止まない」という曲を書かせていただきました。あの曲では、薬師丸ひろ子さんのアカデミックな部分をすごく出したかったんです。いわゆる"恋してまーす"みたいな感じじゃなくて(笑)、もう少し文学的な感じというか。彼女の真直ぐなまなざしに似合うような曲にしたいなと思って。 |
| 長門: |
ひろ子ちゃん、あの曲とても気に入っていて、ツアーでもずっとセットリストに入ってましたね。 |
| 尾崎: |
嬉しいですねぇ。そういうふうに自分が書いた曲を愛してもらえることが私にとって何よりも幸せなんです。 |
| 長門: |
亜美さんの曲は歌詞のフレーズがすごく印象的だけど、一瞬で頭に浮かぶんですか? |
| 尾崎: |
浮かぶときもありますね。たとえば観月ありささんに会った時は、お話ししていて、すぐに、頭の上に、「伝説の少女」って文字が浮かんだので、そのイメージに向かってメロディと歌詞を書いていったんです。聖子さんのときも、「天使のウィンク」は割りとすぐに頭に浮かびましたね。お掃除中だったんですけど(笑)。 |
| 長門: |
「マイ・ピュア・レディ」は資生堂の口紅のCMソングだけど、これは最初にタイトルが決まっていて、それに合わせて曲を書いたんですか? |
| 尾崎: |
はい。"マイ・ピュア・レディ"っていうキャンペーンだったんです。それでピュアな女の子のイメージを一生懸命想像して。"気持ちが動いてる。たった今、恋をしそう"っていう歌詞を書いたんです。自分でもメロディと歌詞のマッチングがいいなと思って。 |
| 長門: |
コピーライター顔負けだよね。 |
| 尾崎: |
割りとそういう気持ちで書くこともありますよ。15秒なら15秒で、主人公の性格がわかるような歌っていうか。「マイ・ピュア・レディ」も、そうやって書いた曲ですね。 |
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