mintsBar 今夜のお客様は 杉真理さん です  

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”今夜のお客さまは
      杉真理さんです。“
【杉真理 すぎまさみち プロフィール】

‘54年、福岡県生まれ。‘76年、慶應義塾大学工学部在学中にビクターのコンテストに出場。これを契機に翌年、アルバム『Mari & Red Stripes』でビクターよりデビュー。2ndアルバム『Swingy』発表後、作家活動を開始し、竹内まりや、レイジー、須藤薫らに楽曲を提供。‘81年には大瀧詠一、佐野元春と共にシングル「A面で恋をして」を、翌年3月にはアルバム『ナイアガラ・トライアングルVOL.2』を発表し脚光を集める。その後も、着実に活躍し続け、現在までに計17枚のソロ・アルバムと20枚のオリジナル・シングル(12inch含む)を発表。ソロ以外にも、さまざまなバンドやユニットに参加している。2008年11月19日には、彼が参加したオムニバス・アルバム『WINTER LOUNGE』、松尾清憲、小室和之、田上正和とのバンド“BOX”のアルバム『BOX POPS』(‘88年)、『JOURNEY TO YOUR HEART』(‘90年)が、ボーナス・トラックを追加して、24bitデジタル・リマスター、紙ジャケット仕様によって復刻される。

杉 真理 公式ウェブサイト
  Welcome!◆Masamichi Sugi OFFICIAL WebSite
 http://homepage2.nifty.com/masamichi-sugi/

BOX公式サイト  「BOX OFFICIAL WEBSITE」
 http://love-pop.music.coocan.jp/box/

除川: いらっしゃいませ。mints Barへようこそ。
杉: お久しぶりです、長門さん。
長門: やあ、杉さん、久しぶり。
除川: 早速ですが、お飲み物はいかがいたしますか?
杉: じゃあ、ラムをロックで。レモンハート151プルーフをお願いします。

長門: さてと。杉さんといえば、まず思い出すのが……。
杉: 飯島真理ちゃんのレコーディングですか(笑)?
長門: そう(笑)。あれは、たしか‘84年ぐらいだったかな。
杉: 最近、人づてに聞いたんですけど、僕の第一印象があまりよくなかったっていう(笑)。
長門: (笑)。僕が飯島真理ちゃんのレコーディングに遊びに行った時に、妙に馴れ馴れしく真理ちゃんに話しかけているヤツがいて(笑)。
杉: スイマセンでした(笑)。でも、自分では全然そんなつもりなかったんですよ(笑)。
長門: あの時、誰も杉さんのこと紹介してくれなくて。後で、杉さんだと聞いて。当時は、杉さんのオープンな人柄を知らなかったから(笑)。あの時、知り合えていたら、もっと早く、杉さんの音楽とコントのファンになっていたのに(笑)。今思えば、僕も了見の狭い男だったと反省しています(笑)。
杉: いえいえ。今日はお手柔らかにお願いします。
長門: こちらこそ、よろしく(笑)。これも数年前に杉さんと話していてわかったんだけど、杉さんや竹内まりやが大学時代に入っていた音楽サークルの先輩が僕の小・中学校の同級生で、僕が高校の時、やっていたバンドのギターだった岩永だったんだよね。世の中、狭いなあって(笑)。
杉: そうなんですよ。岩永先輩には大変お世話になりました。長崎の家にも泊めていただいたりして。よろしく、お伝えくださいね。
長門: はい、伝えておきます。それで、僕が杉さんと初めて仕事でご一緒したのが、今回、再発されるウインター・アルバム『WINTER LOUNGE』のレコーディング。あのアルバムにはピチカート・ファイヴも参加しているんだけど、当時、僕は彼らのマネージメント・オフィスをやっていたんだよね。
杉: その節は大変お世話になりました(笑)。ピチカートのメンバーとは所沢でプロモーション・ヴィデオを一緒に撮影したんですよ。懐かしいですねえ。
長門: 個人的には「Yellow Christmas」って楽曲がすごく印象深くてね。浜田省吾、EPOちゃん、杉さんが続けて歌った後に、当時、ピチカートのメンバーだった佐々木麻美子ちゃんの“それがどうしたの?”ってセリフが入る(笑)。生意気だったよねえ(笑)。
杉: はははは(笑)。
長門: あのセリフは誰が考えたの?
杉: 僕が考えました(笑)。でも、『WINTER LOUNGE』って今聴くと、かなりフザけたアルバムですよね(笑)。
長門: うんうん、聴いていると、現場の楽しそうな雰囲気が伝わってくるよね。
杉: 当時はミュージシャン同士の仲が良かったし、レコード会社のスタッフも音楽に対して夢を持っていたような気がするんですよ。だからこそ、あそこまで遊び心に溢れたアルバムを作ることができたんだと思います。

長門: 『WINTER LOUNGE』と同時に、杉さんが参加しているバンド、BOXが残した2枚のアルバム(『BOX POPS』、『JOURNEY TO YOUR HEART』)も再発されることになって。これは昨年がデビュー30周年の企画の一環で?
杉: そうです。
長門: そもそもBOXというバンドは、どういうふうにスタートしたんですか?
杉: 僕も含めてビートルズ好きのミュージシャンって、ビートルズにどこまで近づけるのかっていうことを一度は絶対に試したくなると思うんですよ。そんなことを考えていた時に、松尾(清憲)さんと出会って、小室(和幸)くんと、田上(正和)くんを交えて、僕の部屋で夜な夜なデモ・テープを作るようになったんです。そうしている間に、だんだんオリジナル曲が溜まっていって、“杉くん、これどうしよう?”って話になって(笑)。
長門: じゃあ、レーベルも何も決まっていなかったんだ。
杉: そうなんです。それでデモ音源を聴いた、僕や松尾さんのマネージャーが、“これは絶対、世に出すべき”って判断して、正式なレコーディングに入ったんです。
長門: 杉さんは曲作りをするとき、いつも入念にデモ・テープを作りこむんだよね。
杉: 基本的に僕はデモ・テープ小僧なんで(笑)。昔から “そこまでやる必要ないんじゃない?”って言われるくらいデモ・テープを作り込んじゃうんですよ。デモの段階でハードルを上げちゃうと、自由が利かないっていう人もいると思うんですけど、僕の場合、最初にイメージを固めておくことで、いざ本番のレコーディングする時に、迷わないで済むというか。デモ・テープを聴くことで、最初に自分がやりたかったことをすぐに思い出すことができるんです。
長門: 今回のリイシュー作業で、杉さんが力を入れたポイントはどのあたりだったのかな?
杉: リマスタリングと、あとはボーナス・トラック用の音源探しですね。
長門: 昔の音源は比較的大事に保管しておくタイプですか?
杉: なんとなく保管はしてあるんですけど、どこに行ったのか、わからないような状態になっていたんです。ちょうど、あの頃ってアナログからデジタルに移る頃で、1枚目の『BOX POPS』は、アナログがメインで流通されたんですけど、2枚目の『JOURNEY TO YOUR HEART』からCDオンリーになっちゃったんですよ。だから残っている音源がDATだったり、カセットだったりで、すごく探すのが大変だったんです。
長門: 昔の音源を聴きなおしてみて、どうでした?
杉: 今回、カセット音源をボーナス・トラックとして収録したんですけど、カセットはいいですね。DATに全然劣ってない、優秀なんです。サウンドの雰囲気もいいし、マスタリング・エンジニアも“カセットは優秀ですね”って言っていましたね。
長門: どのあたりの楽曲がカセット音源なのかな。
杉: 『JOURNEY TO YOUR HEART』に入っている「Woman(CM Version)」がカセット音源ですね。
長門: そうなんだ!全然、わからなかった。音もすごく良いし。
杉: しかもあのトラックはハイグレード・タイプじゃなくて、一般的に使われていた、いわゆるノーマルポジションのカセット・テープで収録されていたんですよ。
長門: ボーナス・トラックといえば、(ジョージ・ハリスンのトリビュート・アルバム『Gentle Guitar Dreams』に収録されていたビートルズのカヴァー)「TAXMAN」のモノラル・ヴァージョンもすごく気になりましたが、あんな音源も残していたんですね。
杉: あの曲のレコーディングでは、ドラムを右、ベースも右、コーラス左といった感じで、完全に昔っぽいミックスにしているんで、だったらモノラル・ミックスも録ってみたら面白いんじゃないかって話になって遊びで試してみたんですね。その音源が今回、発見されたんです。
長門: そうだったんだ。それにしても今回のリイシュー盤を聴いてみて、全体的に、すごくいいマスタリングが施されているなと思いました。
杉: そこは、すごく力を入れました(笑)。でも、今、聴くと、80年代のレコードって “なんであの音にしちゃったんだろう”っていうものが多いですよね(笑)。なぜ、あそこまでスネアがでかいのか、とか(笑)。
長門: 当時は世界的に、そういう音が主流だったからね。
杉: だいたい、味気のない打ち込みか、こもった生音のどちらかでしたよね。でも、BOXのアルバムに関しては飯尾(芳史)さんっていうエンジニアが頑張ってくれて。それまで、僕はいろんなエンジニアの人と仕事をしてきたんですけど、“トラックダウンで、どうにでもなるから!”って言われて、実際、どうにかなった試しが一度もなかったんですよ(笑)。だからレコーディングの段階で、いかに良い音で録っておくかが大事だということに気が付いていて。それを当時、飯尾くんと徹底的に意識したんです。彼のおかげもあって、今回のリイシュー担当マスタリング・エンジニアに言わせると、“BOXのアルバムは今の音をしている”らしいんですよ。
長門: 全然、音が古くないもんね。いわゆる80年代の音楽にありがちな、聴いていて恥ずかしくなるようなサウンドじゃない。
杉: でも、当時はバンド・ブーム全盛期で、いわゆるホコ天で演奏しているようなタテノリ系バンドが主流だったんで、“こりゃあ受け入れられないな”とは思っていたんですけど……やっぱり受け入れられませんでしたね(笑)。
長門: 早すぎたっていうのは変だけど、あの頃、BOXみたいなことは誰もやっていなかったよね。
杉: BOXって、ROLLYくんだったり、意外と業界の中に好きな人が多いんですよ。どうやら、ゴスペラーズのメンバーの中にも好きだと言ってくれている人がいるみたいで。
長門: つのだひろさんも“このバンドでドラムを叩きたかった!”って言ってたんだよね。
杉: テレビに出演したときに言ってくれたみたいですね。“すごくいいバンドだけど、ひとつだけ文句がある! 僕にドラムを叩かせなかったことだ!”って(笑)。
長門: けっこう隠れファンが多いと思うよ。特にビートルズが好きな人は、ちょっと“悔しいな”って思うところがあるのかもしれないね。
除川: 漫画家の本秀康さんも、当店にいらしたとき、影響を受けた作品として、BOXのアルバムを挙げられていました。
杉: 嬉しいですねぇ。そういうお話を聞くと、すごく売れていたバンドのような錯覚を起こすんですけど、実際はあまり売れなくて(笑)。
長門: むしろ今のほうがタイムリーなんじゃないかな。今回のリイシューで再評価されると思いますよ。ちなみにBOXの3枚目のアルバムを出したいという気持ちは?
杉: あります、あります(笑)。作りかけたままになっている曲もありますし、松尾さんとライヴに向けて新曲を作ろうという話もしているんですよ。
長門: 発売後の11月24日にはBOXでのライヴも予定しているんですよね。
杉: ええ、すごく楽しみです。でもBOXの曲って短いから、ライヴで演奏しているとあっという間に終わっちゃうんですよ。5曲終わっても15分くらいしか経っていなかったり(笑)。意外に体力と神経を使うんです(笑)。
除川: バンド内で何か取り決めがあるんですか? 3分以上の曲は作らないとか。
杉: そうですね。あんまり長ったらしくはしたくないし、もう1回、聴きたくなるぐらいがちょうどいいのかなって(笑)。

長門: そういえば、1月にリリースされたソロのオリジナル・アルバム『魔法の領域』も、すごく良い作品でしたね。
杉: ありがとうございます。
長門: 竹内まりや、伊藤銀次、堂島孝平、安部恭弘、村田和人、須藤薫、黒沢秀樹、姫野達也、上田雅利、ピカデリーサーカスと、杉さんにゆかりのある音楽仲間が集結していて。
杉: そうですね。みんな快く引き受けてくれて、ありがたかったですね。
長門: あのアルバムは、いつぐらいから作っていたの?
杉: 去年の8月末からです。ちょうど僕の親父が亡くなった次の週からレコーディングがスタートして。実は、この前センチメンタル・シティロマンスの告井(延隆)さんと会ったら、“実は一昨日、父親が亡くなってお葬式だったんだけど、まったく悲しくなくて、いいお葬式だったんだ”って言われて。僕もまったく同じだったんですよ。気持ちの部分で吹っ切れたというか、すごく良いレコーディングをすることができて。個人的にも思い入れのある作品なんです。
長門: ジャケットもすごくいいよね。裏ジャケのセスナの絵も良いし。
杉: あのセスナに乗っているのが、親子に見えるじゃないですか。イラストレイターの方(フジモト・ヒデト氏)には特に何も言っていないんですよ。そうしたら、あのイラストが出来上がってきて。
長門: セスナだけに切(セス)ない……(笑)。
杉: セスナ(刹那)的な感じで(笑)。
長門: (笑)。あのアルバムは今も繰り返し聴いてます。特に「Xmas in Hospital」って曲が好きでね。
杉: そういえば、僕の視聴会で、長門さんにあの曲のデモ・テープを褒めていただきましたよね。
長門: いや、褒めるというか(笑)、純粋にいい曲だなあって、目を閉じて聴いていて、ジーンと来たんだよね。BOXの曲は歌詞にヒネリが利いていたりするものが多いんだけど、ソロの曲は歌詞もストレートだし、すごくグッとくるものが多いなあ。
杉: ありがとうございます。

長門: 杉さんは多岐にわたって、いろんな活動をしているけれど、何か次にやってみたいことはありますか?今すぐにでもやりたいことは?
杉: すぐにでも、ですか? 難しいですね……。しいていうなら、今日ここにお邪魔する前、家を出る直前まで作っていた曲を早く完成させたいです(笑)。趣味が曲作りなんですよ(笑)。
長門: それからコントだよね(笑)。本当に可笑しくて、杉さんにもらった自演コントのCD、家で眠る前に良く聞いているんだけど、可笑しくて眠れなくなっちゃうんだ(笑)。
杉: コントは作るのも、演るのも大好きですね(笑)。数年前まで、新潟のラジオ番組をやらせてもらっていて、毎週生放送で新幹線を使って新潟まで行っていたんですけど、もう車内ではコント作り(笑)。一緒に番組をやっていたラジオ局の女性ナビゲーターの方や、僕の身内まで総動員してコントを演じていたんですよ(笑)。それから一人でピッチを変えて、多重録音コントを録ったりして(笑)。僕のコントのオチは、必ず音楽ネタなんですけど、アーティスト名だったり、曲のタイトルだったりして、ジングルみたいに曲の頭に繋げたりして(笑)。最近考えているのは、曲頭のフレーズに繋げたりするテクニック(笑)。
長門: さすが(笑)!凝り性だからねぇ(笑)。ライヴとかでも演っているんですよね?
杉: ええ、コンサートのMCで、バックのメンバーが台詞めいた発言をしだすと、コント・モードに入っていくんですよ(笑)。お客さんの中でも、“来た!来た!”って待っている人もいるんじゃないかな?でも、付いていけない方もいらして、何が始まったのか?みたいな感じでボーゼンとしている方も見られますね(笑)。

長門: なるほど(笑)。では、このあたりでハジレコの話を。最初に買ったレコードって覚えてます?
杉: 「のっぽのサリー」と「ロックンロールミュージック」が入っているビートルズのシングルです。小学5年生のときに大森の駅ビルにあるレコード屋さんで買いました。「ロックンロールミュージック」のジョンと、「のっぽのサリー」のポールは最高でしたね。それまで、あんな音楽聴いたことなかったから、すごく衝撃を受けましたね。
長門: では、杉さんが影響を受けたレコードを最後に教えてもらおうかな。
 「 ザ・ビートルズ / HELP!-4人はアイドル 」
  −この作品を通じてビートルズの奥深さを知りました。−
 実は一番好きなのは『ビートルズ(ホワイトアルバム)』なんですけど、最初に買ったのが、このレコードだったんです。もう何が驚いたかってB面が良かったことなんですよ(笑)。変な話、あの頃はB面って、捨て曲が入っているものだと思っていたから、このLPにはビックリしました。だって「イエスタディ」なんて、当時、アルバムの墓場といわれたラス前ですよ(笑)。ビートルズのレコードってA面に飽きた頃に、B面がぐっと好きになるんですよね。

 「 ニルソン / ハリー・ニルソンの肖像 」
  −一人コーラスの多重録音の魅力に目覚めた一枚−
 ポール・マッカートニーがプロデュースしたメリー・ホプキンの『ポスト・カード』というアルバムに彼が書いた「パピー・ソング」っていう曲が入っていて、それがきっかけでニルソンという名前を知りました。最初にジャケットを見たときは、本当にこういう人なのかなと思いましたよ。“子供じゃん!”って(笑)。当時はシンガーソングライターって言葉が浸透しつつあったんですけど、ニルソンって僕の中では、シンガーソングライターという印象ではなかったんです。どんなジャンルにも当てはまらない彼独自の存在感に憧れましたね。ニルソンがビートルズのメンバーと絡むことがあるのなら、絶対にポールだと思っていたんで、ジョン・レノンとの交流には個人的にすごく驚いた記憶があります。“ジョンが来たか!”って(笑)。

 「 ジェームス・テイラー / マッド・スライド・スリム 」
  −JTのギター・スタイルに大きな影響を受けました−
 大学の音楽サークルに入ったときに新入生のお披露目会みたいなものがあって、その時にJTの「ファイヤー&レイン」を演奏したんです。当時、JTやキャロル・キング、エルトン・ジョンをカヴァーしている先輩のバンドがあったんですけど、僕はそのバンドに入れてもらいたいなとずっと思っていたんです。最終的にそのバンドには、コーラスとリード・ギターで入ることができたんですけど、そのバンドにのちのち、後輩の(竹内)まりやが入ってくるんですよ。もしもJTを演奏していなかったら、そのバンドには入れなかっただろうし、さらに言えば、まりやとも一緒に音楽をやっていなかったと思うんです。そういう意味でも僕にとってJTって重要なアーティストなんです。

 「 エミット・ローズ / エミット・ローズ 」
  −入念に作りこんだデモ・テープのようなアルバム−
 ビートルズが解散したあとに、ポール・マッカートニーが『マッカートニー』というアルバムを発表したんですけど、当時の僕はポールにビートルズの延長みたいな音楽を望んでいたから、あの作品を聴いてすごくガッカリして(当時はですよ、今は改心して大好きですが)、“あ、違う!”と思って、他のビートルズっぽい作品を探していく中で出会ったのが、このアルバムなんです。すべての楽器を一人で演奏してるんですけど、ギターはジョージっぽいし、ベースはポールっぽいし、曲もレノン=マッカートニーっぽいし、頭の中で思い描いた理想の到達点に向けて迷わず突き進んでいる感じが、すごくいいなと思えたんです。僕がデモ・テープ至上主義になったのは、このアルバムからの影響なのかもしれませんね。

 「 10cc / ブラディ・ツーリスト 」
  −多彩な音楽的要素を兼ねそろえたバンド−
 途中でテンポが変わったり、組曲を短くポップにしたような独自の楽曲展開だったり、そのあたりの発想の自由さだとか、彼らの楽曲が醸し出す映像的な感覚に、すごく影響を受けました。10ccに出会わなければ、ピカデリーサーカスというバンドは存在しなかったと思います。彼らはサウンドはもちろん、歌詞の内容も凝っているんですよね。いちばん驚いたのは、『愛ゆえに』というアルバムに入っている「フラット・ギター・テューター」という曲で、コードと歌詞がシンクロしてるんですよ。たとえば“I BOUGHT A FLAT GUITAR(僕は壊れたギターを買った)”って歌ってるとき、“A FLAT”ってところで、実際にギターでコードのA♭(フラット)が使われていたり。“こんな技アリ!?”って驚きましたね。メンバーのグラハム・グールドマンとエリック・スチュアートが僕のラジオにゲストで来てくれたときには、音楽から血液型の話まで(笑)、本当にいろんなことを聞きました。収録後に、彼等に『BOX POPS』を聴いてもらって、“ビートルズの『リヴォルバー』」みたいだね”って言ってもらえたのは、すごく嬉しかったですね。

 「 ディヴァイン・コメディ / シークレット・ヒストリー:ザ・ベスト・オブ・ディヴァイン・コメディ 」
  −彼はオタクというか超変態ですね(笑)−
 ある意味、10ccの延長線上にあるんですけど、この人も優れたメロディ・メイカーで在りながら、歌詞が、すごくおもしろいんです。たとえば「サムシング・フォー・ウイークエンド」という曲は、“あの藁葺き屋根のうちに何かある”“そんなのあるわけないだろ”“いや、あるんだって!”みたいな男女のやりとりが延々と続いていたり(笑)。コード進行も斬新なんだけど、彼が書く曲は10ccと違ってAメロが長いんですよ。あとあとになって、歌詞が凝っているからAメロは繰り返しが多いんだなっていうことに気が付くんですけど。独特な世界観を持っているアーティストなので、他人に薦めるときは、“すごく面白い曲と、ついていけない曲がある”って、いつも説明するようにしています(笑)。

 「 アージェント / サーカス幻想 」
  −元ゾンビーズの鍵盤奏者、ロッド・アージェントのバンド−
 長ったらしいプログレの曲もあるんですけど、すごくポップな曲が何曲か収録されている、隠れた名盤です。この作品に入っている「微笑みのサンシャイン(SHINE ON SUNSHINE)」っていう曲が、70年代のロックで僕が一番好きな曲なんですよ。コーラスといい、コード進行といい、もろにポール・マッカートニーなんですけど(笑)。ラストに収録されている「おいらは道化師(Jester)」って曲を去年、ピカデリーサーカスのライヴのオープニングで流しました。この曲のエンディングは、ロッド・アージェントのラグタイム・ピアノで終わるんですけど、それに影響されて、ピカデリーサーカスの1枚目も、僕のソロのデビュー・アルバムも、同じようにピアノで終わってるんです。


〜杉 真理さんの7枚〜
ザ・ビートルズ
/HELP!-4人はアイドル
EMIミュージックジャパン TOCP-51115
ニルソン
/ハリー・ニルソンの肖像
(紙ジャケット仕様)
BMGジャパン BVCM-35116

ジェームス・テイラー
/マッド・スライド・スリム
ワーナー・ブラザーズ WPCR-75388
エミット・ローズ
/エミット・ローズ
MCA UICY-3321
10cc
/ブラディ・ツーリスト
(SHMCD:紙ジャケット仕様)
マーキュリー UICY-93817

THE DIVINE COMEDY
/SECRET HISTORY:THE BEST OF THE DIVINE COMEDY
<輸入盤>
DCRL100CD
アージェント
/サーカス幻想
(紙ジャケット仕様)
EPICレコード EICP-1019


  mints Barでは、時間の経つのも忘れて、音楽談議が続いています。

杉 真理さんのオーダー
ラム(ロック)
(レモンハート151プルーフ)

news!!
    レコミンツ(PART-1&2)にて、下記の杉 真理関連のCDをお買いあげの方に、
    オリジナル特典(杉 真理 直筆の「杉サマのおことば」+サイン入りポスト・カード)
    プレゼントいたします!!数に限りがございますので、お早めにお買い求め下さい。


      ○BOX/Journey To Your Heart(紙ジャケット仕様)  2008.11.19発売 (予約受付中)
      ○BOX/BOX POPS(紙ジャケット仕様)  2008.11.19発売 (予約受付中)
      ○Various Artist/Winter Lounge(紙ジャケット仕様)  2008.11.19発売 (予約受付中)
      ○杉 真理/魔法の領域

○BOX
/Journey To Your Heart
(紙ジャケット仕様)
2008.11.19発売
(予約受付中)
○BOX
/BOX POPS
(紙ジャケット仕様)
2008.11.19発売
(予約受付中)

○Various Artist
/Winter Lounge
(紙ジャケット仕様)
2008.11.19発売
(予約受付中)
○杉 真理
/魔法の領域



※特典付き商品は、完売致しました。
杉 真理 直筆の「杉サマのおことば」は
全部で20パターン!!

     (注)グッド・タイム・ミュージックの流れる店、mints Barは架空の店です。

mints Barは、コチラのお店をお借りして、撮影しています。


ラウンジバー瑠璃
東京都中野区新井1-7-1
カーサトモエビル1階
Tel : 03-3387-7906



第二十八夜  おわり



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