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| 長門: |
『WINTER LOUNGE』と同時に、杉さんが参加しているバンド、BOXが残した2枚のアルバム(『BOX POPS』、『JOURNEY TO
YOUR HEART』)も再発されることになって。これは昨年がデビュー30周年の企画の一環で? |
| 杉: |
そうです。 |
| 長門: |
そもそもBOXというバンドは、どういうふうにスタートしたんですか? |
| 杉: |
僕も含めてビートルズ好きのミュージシャンって、ビートルズにどこまで近づけるのかっていうことを一度は絶対に試したくなると思うんですよ。そんなことを考えていた時に、松尾(清憲)さんと出会って、小室(和幸)くんと、田上(正和)くんを交えて、僕の部屋で夜な夜なデモ・テープを作るようになったんです。そうしている間に、だんだんオリジナル曲が溜まっていって、“杉くん、これどうしよう?”って話になって(笑)。 |
| 長門: |
じゃあ、レーベルも何も決まっていなかったんだ。 |
| 杉: |
そうなんです。それでデモ音源を聴いた、僕や松尾さんのマネージャーが、“これは絶対、世に出すべき”って判断して、正式なレコーディングに入ったんです。 |
| 長門: |
杉さんは曲作りをするとき、いつも入念にデモ・テープを作りこむんだよね。 |
| 杉: |
基本的に僕はデモ・テープ小僧なんで(笑)。昔から “そこまでやる必要ないんじゃない?”って言われるくらいデモ・テープを作り込んじゃうんですよ。デモの段階でハードルを上げちゃうと、自由が利かないっていう人もいると思うんですけど、僕の場合、最初にイメージを固めておくことで、いざ本番のレコーディングする時に、迷わないで済むというか。デモ・テープを聴くことで、最初に自分がやりたかったことをすぐに思い出すことができるんです。 |
| 長門: |
今回のリイシュー作業で、杉さんが力を入れたポイントはどのあたりだったのかな? |
| 杉: |
リマスタリングと、あとはボーナス・トラック用の音源探しですね。 |
| 長門: |
昔の音源は比較的大事に保管しておくタイプですか? |
| 杉: |
なんとなく保管はしてあるんですけど、どこに行ったのか、わからないような状態になっていたんです。ちょうど、あの頃ってアナログからデジタルに移る頃で、1枚目の『BOX
POPS』は、アナログがメインで流通されたんですけど、2枚目の『JOURNEY TO YOUR HEART』からCDオンリーになっちゃったんですよ。だから残っている音源がDATだったり、カセットだったりで、すごく探すのが大変だったんです。 |
| 長門: |
昔の音源を聴きなおしてみて、どうでした? |
| 杉: |
今回、カセット音源をボーナス・トラックとして収録したんですけど、カセットはいいですね。DATに全然劣ってない、優秀なんです。サウンドの雰囲気もいいし、マスタリング・エンジニアも“カセットは優秀ですね”って言っていましたね。 |
| 長門: |
どのあたりの楽曲がカセット音源なのかな。 |
| 杉: |
『JOURNEY TO YOUR HEART』に入っている「Woman(CM Version)」がカセット音源ですね。 |
| 長門: |
そうなんだ!全然、わからなかった。音もすごく良いし。 |
| 杉: |
しかもあのトラックはハイグレード・タイプじゃなくて、一般的に使われていた、いわゆるノーマルポジションのカセット・テープで収録されていたんですよ。 |
| 長門: |
ボーナス・トラックといえば、(ジョージ・ハリスンのトリビュート・アルバム『Gentle Guitar Dreams』に収録されていたビートルズのカヴァー)「TAXMAN」のモノラル・ヴァージョンもすごく気になりましたが、あんな音源も残していたんですね。 |
| 杉: |
あの曲のレコーディングでは、ドラムを右、ベースも右、コーラス左といった感じで、完全に昔っぽいミックスにしているんで、だったらモノラル・ミックスも録ってみたら面白いんじゃないかって話になって遊びで試してみたんですね。その音源が今回、発見されたんです。 |
| 長門: |
そうだったんだ。それにしても今回のリイシュー盤を聴いてみて、全体的に、すごくいいマスタリングが施されているなと思いました。 |
| 杉: |
そこは、すごく力を入れました(笑)。でも、今、聴くと、80年代のレコードって “なんであの音にしちゃったんだろう”っていうものが多いですよね(笑)。なぜ、あそこまでスネアがでかいのか、とか(笑)。 |
| 長門: |
当時は世界的に、そういう音が主流だったからね。 |
| 杉: |
だいたい、味気のない打ち込みか、こもった生音のどちらかでしたよね。でも、BOXのアルバムに関しては飯尾(芳史)さんっていうエンジニアが頑張ってくれて。それまで、僕はいろんなエンジニアの人と仕事をしてきたんですけど、“トラックダウンで、どうにでもなるから!”って言われて、実際、どうにかなった試しが一度もなかったんですよ(笑)。だからレコーディングの段階で、いかに良い音で録っておくかが大事だということに気が付いていて。それを当時、飯尾くんと徹底的に意識したんです。彼のおかげもあって、今回のリイシュー担当マスタリング・エンジニアに言わせると、“BOXのアルバムは今の音をしている”らしいんですよ。 |
| 長門: |
全然、音が古くないもんね。いわゆる80年代の音楽にありがちな、聴いていて恥ずかしくなるようなサウンドじゃない。 |
| 杉: |
でも、当時はバンド・ブーム全盛期で、いわゆるホコ天で演奏しているようなタテノリ系バンドが主流だったんで、“こりゃあ受け入れられないな”とは思っていたんですけど……やっぱり受け入れられませんでしたね(笑)。 |
| 長門: |
早すぎたっていうのは変だけど、あの頃、BOXみたいなことは誰もやっていなかったよね。 |
| 杉: |
BOXって、ROLLYくんだったり、意外と業界の中に好きな人が多いんですよ。どうやら、ゴスペラーズのメンバーの中にも好きだと言ってくれている人がいるみたいで。 |
| 長門: |
つのだひろさんも“このバンドでドラムを叩きたかった!”って言ってたんだよね。 |
| 杉: |
テレビに出演したときに言ってくれたみたいですね。“すごくいいバンドだけど、ひとつだけ文句がある! 僕にドラムを叩かせなかったことだ!”って(笑)。 |
| 長門: |
けっこう隠れファンが多いと思うよ。特にビートルズが好きな人は、ちょっと“悔しいな”って思うところがあるのかもしれないね。 |
| 除川: |
漫画家の本秀康さんも、当店にいらしたとき、影響を受けた作品として、BOXのアルバムを挙げられていました。 |
| 杉: |
嬉しいですねぇ。そういうお話を聞くと、すごく売れていたバンドのような錯覚を起こすんですけど、実際はあまり売れなくて(笑)。 |
| 長門: |
むしろ今のほうがタイムリーなんじゃないかな。今回のリイシューで再評価されると思いますよ。ちなみにBOXの3枚目のアルバムを出したいという気持ちは? |
| 杉: |
あります、あります(笑)。作りかけたままになっている曲もありますし、松尾さんとライヴに向けて新曲を作ろうという話もしているんですよ。 |
| 長門: |
発売後の11月24日にはBOXでのライヴも予定しているんですよね。 |
| 杉: |
ええ、すごく楽しみです。でもBOXの曲って短いから、ライヴで演奏しているとあっという間に終わっちゃうんですよ。5曲終わっても15分くらいしか経っていなかったり(笑)。意外に体力と神経を使うんです(笑)。 |
| 除川: |
バンド内で何か取り決めがあるんですか? 3分以上の曲は作らないとか。 |
| 杉: |
そうですね。あんまり長ったらしくはしたくないし、もう1回、聴きたくなるぐらいがちょうどいいのかなって(笑)。 |
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