mintsBar 今夜のお客様は「イラストレーター/漫画家の 本 秀康さん」です!  

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”今夜のお客様は、
イラストレーター/漫画家の
本 秀康さんです。“
【本 秀康(もと ひでやす) プロフィール】
1969年京都生まれ。イラストレーター/漫画家。県立神奈川工業高校デザイン科卒。1990年よりフリーイラストレーターとして活動。その後、漫画家としてもデビュー。一見、牧歌的な画風でありながら、鋭い毒を持つストーリー/世界観によって、熱狂的なファンを獲得した。また、音楽への造詣が深く、音楽誌への寄稿、執筆も多い。『27時間テレビ』『爆笑問題のバク天』等の番組キャラクター、その他CM、雑誌広告、CDジャケット等を手がける。自身のキャラクター『レコスケくん』のキャラクターショップが香港を拠点に、アジア各国で展開中。TIS会員。現在『アックス』『IKKI』で漫画連載中。主な著作は『たのしい人生』『君の友だち』『HELLO GOOD-BYE』『アーノルド ベスト・オブ・本秀康』『ワイルドマウンテン』『レコスケくん』『無人島レコード(監修)』。主な寄稿は『ミュージック・マガジン(表紙イラスト)』『ロック画報(表紙イラスト)』『ダ・カーポ(表紙イラスト)』『スピッツ/メモリーズ(CDジャケット)』『奥田民生/CUSTOM(CDジャケット)』『THE GOOD-BYE/READY!STEADY!THE GOOD-BYE!!!(監修/CDジャケット)』『東京事変/Dynamite in/Dynamite out(CDジャケット)』『スネオヘアー/東京ビバーク(CDジャケット/PVアニメーション)』等、多数。
除川: いらっしゃいませ。mints Barへようこそ。
本: こんばんは。mints Barってここだったんですね。
長門: ああ、本さん、いらっしゃい、こんばんは。この辺りはよく来るの?
本: ええ、だけどここだったとは、気づかなかったなぁ。
除川: 本さん、お飲み物はいががいたしますか?
本: え〜っと、じゃコーラをください。

長門: あらためて、今年も宜しく。もう去年になるけど、『無人島レコード2』出たね。人選含めて、今回も面白かったよ。
本: ありがとうございます。人選は能地(祐子)さんのミュージシャンルートと、僕のサブカルなルートで、いい感じで幅が出たと思います。

長門: 本さんと初めて会ってから、どのくらい経つのかな?
本: そろそろ10年じゃないですか。確か、「ワーナー名盤探険隊シリーズ」立ち上げ企画会議の、お食事会でしたよ。
長門: (小倉)エージさんと(萩原)健太と本さんと僕、それにワーナーのスタッフという面々だったかな。本さんには「ウルル」ってタイトルのフライヤーに連載漫画を描いてもらうことになったんだよね。
本: 毎月10タイトルぐらい出るリイシュー名盤作品の中から1枚選んで、それをネタにしたマンガを描かなければならなかったんですけど、結構厳しかったんですよ。そこで、僕の方から交換条件を提案させて頂いたんです(笑)。プロモ盤サンプラーがあったじゃないですか、あれを是非とも紙ジャケ仕様で、漫画ネタのパロ・ジャケにして出したいんですけどって。洋楽の再発って経費かけられる企画じゃないんですよね。でも、それをやって下さって嬉しかった。どんなレコードを再発して欲しいか、みたいなことも尋ねられたりした事も嬉しかったですね。そうだ、それからスタートして1年目にバラード系とロック系を集めたコンピレーション盤というのが2枚出て、ジャケットを僕が描いたんですよ。その時の選曲に、リクエストしたのが反映されたのも嬉しかったなあ。グラム・パーソンズの曲って必ず「シー」が入るから、「ハウ・マッチ・アイヴ・ライド」にしてもらったりとかね。そういえばフライヤーには、長門さんも出てもらいましたからね(笑)。
長門: カート・ベッチャーのCDが出た時の回にね。26〜27年前に撮った、僕とカートの2ショット写真があったから、それを使ったんだよね。
本: その写真が「モンド・ミュージック」に掲載されていたのを見ていたんで、それをネタにマンガ描けるかなと思って、貸して下さいと(笑)。
長門: それがそのままマンガの1コマとして使われたという(笑)。その時は、もうジャケットの仕事はやっていたの?
本: やっていましたけど、海外アーティストは長門さんからお話いただいた、ハース・マルティネスが初めてですね。あれは気合い入りましたよ。
長門: ハース・マルティネスの『フィーリング・ソー・ファイン』が出る時に、これは是非とも本さんにやってもらおうとお願いしたんだよ。だってハースのことをすごく好きでわかってくれる人で、イラストを描く人なんてあまりいないからね。他には矢吹申彦さんぐらいだから。
本: その前のハースのアルバム『ミスター・ドリ−ムズヴィル〜夢の旅人』は、矢吹さんが描いていますからね。その時は、やっぱり矢吹さんだよなぁ、最高だなぁ、と納得して、この調子だと自分に回ってくるのは何年後だろうと思っていたんですけど、意外にもすぐオファーが来てラッキーでした(笑)。

ハース・マルティネス・ウィズ・ヴァレリー・カーター
/フィーリング・ソー・ファイン

長門: ところでレコード買い始めたのはいつ頃からなの?
本: 音楽を好きになったのは結構遅くて、高校の時なんですよ。その頃は横浜辺りだったんで、レコ屋さんは、横浜と東京都内の中古屋ですね。結局、パイドパイパー・ハウスは前を何度か通ったんですけど、怖くて入ってないです(笑)。残念でしたね、近くまで行っていたのに。だからもっぱらディスク・ユニオンでしたね。
長門: その時はもう絵は描き始めていたの?
本: いや、まだですね。本格的に絵を描き始めたのが22,23歳だから。
長門: 好きなロック・アーティストやレコードが、作品に登場してくるのはいつぐらいから?
本: 25歳ぐらい、マンガを描き始めてからですかね。イラストの場合は、音楽の仕事でない限りは、自分の趣味を入れ込むことが出来ないんで(笑)。その点マンガっていうのは、自由に自分のアイデアで出来るじゃないですか。それで中古レコード屋さんに通う主人公の話だとか、大切にしていたレコードを割られて悲しむような話を描き始めて。そのちょっと前から、ミュージック・マガジンで少しイラストを描いていたんですけど、僕のマンガを見たミュージック・マガジンのデザイナーさんに「じゃあマガジンでもマンガを描いてみない?」って言われて、それで「レコスケ」が始まるわけです。
長門: 僕らレコード・マニアやファンにとって、共感が持てる話ばかりだよね。
本: 時代が良かったんですよね。今はネット・オークションとか、CDだけじゃなく音楽配信とかいろいろ出てきて状況も変わって来たから、すごく描きづらくなりましたね。だからああいうネタで描けるマンガとしては、時期としては一番最後だったかも知れないですよね。

長門: そうか。あれ?レコ持ってきてもらったみたいだけど、まさか今日もレコハン帰り?
本: いえいえ、今日は長門さんに見てもらいたいレコがあったんで。

「ジョージ・ハリスン / オール・シングス・マスト・パス」
 - 一番好きなアルバムで、一番買っているアルバムでもあるんです(笑) -

 作品として存在している事がすごく嬉しくて、ヴァージョン違いとかではなくて、同じものを何枚も買っているという(笑)。レコミンツでも何枚か、買っちゃいました。あまりに好きすぎて、このジャケみたいに、森に囲まれた野原に主人公がいて、周りにザコキャラがいるような構図の絵を描きがちになっちゃうんですよね。だから、画家的に影響を受けたアルバム〜内容以上にジャケット〜ということになります。もちろん内容が最高なのは言うまでもなくですけど。僕は金田一耕助が大好きで、映画『悪霊島』の主題歌が、「レット・イット・ビー」だったんですよ。そこから洋楽聴くようになって、一通りビートルズ聴いた後に、ソロを聴いていくんですけど、その中で一番しっくりきたのがジョージ・ハリスンだったんですね。このソロ・デビュー大傑作『オール・シングス・マスト・パス』の頃は、ルーツ・ロックやスワンプ・ロックとかが流行っていた時代だったので、こういう男っぽいアルバムになったんでしょうけど、次第に爽やかな作風になっていったじゃないですか。聴き始めたのが高校生だったんで、当時はこういう勢いのあるロックの方が好きでしたね。それから大人になるに従って、後期の作品も受け入れられるようになって、すべて最高ということになりました。ただ当時これがスワンプだと気づいたのは、この後の『バングラディシュ・コンサート』からですね。そこからレオン・ラッセルやジェシ・エド・デイヴィスに広がっていきました。

「ビートルズ
   / サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド(ロシア盤・紙ジャケ) 」
 - マンガを描く上でトータル・コンセプト・アルバムに影響を受けた部分があるんですよ -

 今日持ってきたのは、ロシア盤なんですけどね(笑)。見てくださいよ、感動しますよ。帯、切り抜き、ライナーとか、東芝の仕様を模していると思うんですけど。盤もアナログ風デザインで。ジョージ・ハリスンに行っちゃってからは、実はそんなにビートルズ聴いていなかったんですけど、ここ最近ショーン・レノンやジョン・レノン、『LOVE』とか、ビートルズ関連のリリースが多いじゃないですか。それにジェフ・エメリック本が、すごく面白かった。そんなこんなで、ビートルズばっかり聴いている状態がここ半年ぐらい続いているんです。マンガを描く上での影響というのは、最初に描いたお話をもう1回、「サージェント・ペパーズ〜リプライズ」みたいに入れ込んでみたり、メドレーを冒頭に入れたりするような遊びを好んでするようになって、それでポピュラリティがなくなっちゃったんですけど(笑)。このジャケット自体のパロディを描いてくれってオファーが2回ぐらいあったんですけど、それはさすがに断りましたね。面倒なので(笑)。

「ザ・バンド / ミュージック・フロム・ビッグ・ピンク 」
 - 何か、ほのぼのしているジャケも含めて。この感じがすごく好きで -

 ザ・バンドで、好きな1枚を選べと言われたらこれなんですけど、一般的にもこれが1番で2番はセカンドとかになるのかな。でも1位と2位の差が激しすぎて、他のアルバムは、僕はそうでもなかったりするんですよ。セカンドからもう普通のロックに聴こえてしまうんですよ。逆に完成されちゃっているからなのかな。かといって、これの完成度が低いってことじゃないんでしょうけど、エリック・クラプトン同様に、ジョージも『オール・シングス・マスト・パス』を作る時に、結構影響受けたらしいです。そういう意味でも、このファースト・アルバムだけは、ジョージのソロ活動と相通じるものがあるような気がしますね。だからこれも何度も買わされています(笑)。ジャケットになったボブ・ディランの絵も、これはプロが下手に描いた感じに見えるぐらいプロっぽいですよね。『セルフ・ポートレイト』はすごい素人が描いた絵っぽいですけど(笑)。

「ロイ・ウッド / マスタード 」
  - レコード集めが楽しくなってきた頃を思い出す作品 -

 ビートルズを集めていた頃、時折高価なレコードがあることに気がついて、それがオリジナルとかレア物だから高いということがわかったんです。当時高いとされていた代表だったのが、トッド・ラングレン、ロイ・ウッド、フランク・ザッパ辺りだったんですよね。その後ザッパやトッドのCDリイシューが始まったんで、急に安くなって買えたんですよ(笑)。で、聴いてみたらどれも確かに良いんですけど、キャッチーな曲と曲の合間に、わけのわからない曲が入っているじゃないですか。そこがビートルズと違うところで、成る程と。そういうことすると価値が上がるのかって(笑)。中古レコ屋へ行く人にとっては、おおむね高いレコードほど価値があるってことになっているじゃないですか。だから逆にロイ・ウッドのバンド仲間だったジェフ・リンが100円だったりすると、価値の低いミュージシャンなのかなぁ(泣)みたいに思ったところもありまして。それでマンガ描くにあたっても、意図して難解なところもちょっとずつ入れていこうと。そういうことで自分の価値もちょっとずつ上がっていくだろうと(笑)。

「BOX / BOX POPS+JOURNEY TO YOUR HEART(2in1) 」
  - ビートルズにリスペクトを贈るアーティストを聴く楽しみを知った作品 -

 日本のロックは、ほとんど聴いていなかったんですけど、ビートルズ全部聴き終わった頃に、BOXが出てきたんですよね。松尾清憲さんのビートルズ・フォロワーな感じって、あんまりソロの時は気づいていなかったんですよね。でもこれを聴いて気づいて、すごい好きになりましたね。当時はオリジナル発売を逃すと、結構手に入れにくかったこのCDが、今は2イン1で買えるというのはすごいことだと思います。今度、松尾さんとCDブックを作ろうということになっていて、毎月打ち合わせしたりしているんです。それがすごい楽しみというか、気合入れてやりたい仕事のひとつですね。また、ちょうどこの頃にザ・グッバイの良さにも気がついて。BOXやザ・グッバイみたいに、素直にビートルズを取り込んでいる感じがすごく羨ましくてね。それでザ・グッバイの再発の時にパッケージやらせてもらって、選曲とかもやれて、あれは楽しかったですね。

番外編「 サミュエル・ホイ / 天才與白痴-THE LAST MESSAGE 」
  - 70年代の香港ポップスからブリティッシュポップの香りがしてきた? -

 レコスケのショップが香港にあるので、向こうに行くことが多いんですけど、レコード屋もほとんどないからフリーの時間が面白くないんです。それで香港を好きになろうと思い、中学の時に好きだったジャッキー・チェンとか「Mr.BOO!」シリーズを観直していたらハマりだしちゃって(笑)。サミュエル・ホイは「Mr.BOO!」の主題歌を歌っている人です。昔は広東語の響きだけでコミック・ソングだろうと思っていましたが、ちゃんと聴いてみるとビートルズやバッド・フィンガーの雰囲気があるんですよ。いろいろ聴いてみたらE.L.O.そのままのイントロとかがある(笑)。そういうのが結構面白くて買い揃えて、たぶんサミュエル・ホイは全部集まっていると思います。このレコは広東語詞のオリジナル集ですけど、「アイ・ソー・ザ・ライト」や「ルーシー・イン・ザ・スカイ・ウィズ・ダイヤモンズ」とかを、そのまま英語でカヴァーしているシリーズもあります。ただ、80年ぐらいから香港のリスナーが、ロックっぽいものにあまり興味ないことにアーティストが気づいちゃって、バラードっぽい方向になっちゃうんですよ。香港のバラードは中華風のメロディーが、僕らにはちょっと受け入れにくくて、それ以降はあんまり面白くないんですけどね。だから70年代の香港のポップス・シーンは面白いですね。

ジョージ・ハリスン
/オール・シングス・マスト・パス
東芝EMI TOCP-65540/1
ビートルズ
/サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド
東芝EMI TOCP-51118
ザ・バンド
/ミュージック・フロム・ビッグ・ピンク
東芝EMI TOCP-67391
ロイ・ウッド
/マスタード
AMR AIRAC-1162
BOX
/ BOX POPS+JOURNEY TO YOUR HEART(2in1)
ソニーミュージックエンタテイメント SRCL-5315
番外編
サミュエル・ホイ
/天才與白痴-THE LAST MESSAGE-
<輸入盤 アナログレコード>

  mints barでは、時間の経つのも忘れて、音楽談義が続いています。
     (注)グッド・タイム・ミュージックの流れる店、mints barは架空の店です。
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『無人島レコード』
レコード・コレクターズ増刊
『無人島レコード2』
レコード・コレクターズ増刊
『レコード・ダイアリー2007』
レコード・コレクターズ増刊
  
本 秀康さんのオーダー
コーラ


撮影協力:ラウンジバー瑠璃
東京都中野区新井1-7-1
カーサトモエビル1階

第六夜  おわり



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