mintsBar 今夜のお客様は 湯川潮音さん です  

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”今夜のお客さまは
      湯川潮音さんです。“

【湯川潮音 ゆかわしおね プロフィール】

‘83年生まれ。小学校時代より東京少年少女合唱隊に所属。多くの海外公演を経験。インディーズで『tide & echo』(‘02年)、『うたのかたち』(‘03年)、『逆上がりの国』(‘04年)という3枚の作品を発表したのち、‘05年8月に、永積タカシ(ハナレグミ)、岸田繁(くるり)がそれぞれ作曲を手掛けた両A面シングル「緑のアーチ/裸の王様」でメジャー・デビュー。“天使の歌声”と称される美しい歌声と、独自の世界観を持つ歌詞で注目を集める。‘06年1月には、メジャー・ファースト・アルバム『湯川潮音』、そして同年6月には通称“夏盤”『紫陽花の庭』、翌年1月には通称“冬盤”『雪のワルツ』というコンセプチュアルな2枚のミニ・アルバムをリリース。その後はコンスタントにライヴ活動を展開。‘08年7月4日に約2年半ぶりとなるフル・アルバム『灰色とわたし』をリリースした。

湯川潮音 公式ホームページ
http://www.yukawashione.com/

除川: いらっしゃいませ。mints barへようこそ。お待ちしていました。
湯川: はじめまして。長門さん、除川さん。
長門: はじめまして。よく来てくれましたね。
湯川: 今日は、よろしくお願いします。父(ロック・ベーシスト:湯川トーベン)からも、“よろしくお伝えください”と言われてきました。
長門: いえいえ、こちらこそ、よろしく。
除川: さっそくですが、お飲み物はいかがいたしますか?
湯川: ではマルガリータをお願いします。

長門: ニュー・アルバムの『灰色とわたし』は、全編ロンドン・レコーディングなんですよね。しかも単身、ロンドンに乗り込んだっていう。
湯川: そうなんです。
長門: まず、ロンドンでレコーディングすることになった経緯から教えてもらえますか?
湯川: 去年1年間、“小部屋ライヴ”というものを定期的にやっていて、毎回、ライヴ用に新曲を1曲作るという気持ちで続けてきたんですけど、ある程度、曲が溜まってきたので、そろそろアルバムを作ろうという話になって。その時に今回、プロデュースをお願いしたクマ原田さんを紹介していただいたんです。
長門: ちなみに、クマ原田さんのことは、知ってたんですか?
湯川: はい。クマさんがベースを弾いていたシング・アウトの「涙をこえて」という曲や、参加していたペンギンカフェ・オーケストラも知っていました。とはいえ、それほど詳しいことは知らなくて、あとで経歴を聞いてびっくりしたんですけど。
長門: 今回、レコーディングしたのは、どんな場所だったんですか?
湯川: 郊外の自然が多いところが良いんじゃないか、というアイデアをクマさんから出していただいて、ロンドンから車で30分くらいの場所にあるスタジオでレコーディングすることになったんです。家族の方が経営している、アットホームなスタジオで、すごく広くて眺めの良い庭があるんですけど、毎朝そこで発声練習をしてから、レコーディングに臨みました。歌入れをしたブースも全面ガラス張りで、丘で休む鹿や羊が見えたり。とにかく、すごい眺めでした。
長門: なかなか、そういうシチュエーションって日本にないですよね。レコーディングはどんな感じで進んでいったのかな?
湯川: 毎朝、私が庭で練習をしていると、様子をうかがいながらメンバーが寄ってきて、“そろそろ、やってみる?”って感じで、レコーディングが始まるというのが、基本的なパターンでした。
長門: 制作期間は?
湯川: 曲作りも含めて1ヵ月弱ですね。すごくリラックスしながら、レコーディングを進めることができました。
長門: 日本だと、どうしてもタイトなスケジュールで作業を進めていかないといけないからね。
湯川: クマさんが本当に何も決めない人で、朝食の時に“今日は、どの曲をやりたい気分?”とか、聞いてくるんですよ(笑)。でも私には、そのやり方が、すごく合っていたみたいなんです。
除川: 参加ミュージシャンが、すごく少ないですよね。
湯川: そうなんです。バイオリンのジェイク(・ウォーカー)は1日か2日しか来なかったので、基本的にはクマさんとグラハム(・ヘンダーソン/ギター、キーボードetc.)と、私の3人編成ですね。
長門: イギリスのミュージシャンは、潮音さんの曲を聴いて、どんな印象を受けたんだろう。
湯川: これまでの私の作品を聴いてくれていたみたいなんですけど、今回のレコーディングで最初に声を出したとき、“全然、声が違う”って言われたんですよ。
除川: それって自分でも分かりましたか?
湯川: 分かりました。自分でもすごくビックリしたんですけど。
除川: これまでの作品とは空気感が違うような気がします。
湯川: 自然に囲まれてレコーディングしていると、大抵のことが、どうでもよくなってしまうんです(笑)。難しいことも、だんだん考えなくなってくるし。
長門: レコーディングで特に印象深かったことは?
湯川: メンバーみんな早起きで、7時半には全員、起床していたんですね。一緒に朝食を食べて、スーパーに日用品とか買いに行ったり、そうやって同じリズムで生活していると、言葉を越えて、お互いの感覚的な部分もだんだん理解できるようになるんですね。そこがすごく面白かったです。
長門: オフの日は、どんなふうに過ごしたんですか?
湯川: 1日だけオフがあったので、ロンドンまで遊びに行きました。絵画を見たり、マーケットを覗いたり。そうそう、ロイヤル・アルバート・ホールにも行きました。
長門: コンサートを観るために?
湯川: はい。ちょうど私が行った日は、子供達の合唱コンサートをやっていたんです。観客は、ほとんど、その子達の両親だったと思います(笑)。小さい子達が踊りながら歌うような、いわゆる発表会ですよね。すごい会場でやるなと思いました(笑)。

長門: そうそう、このCDって知ってますか? クマ原田さんが‘80年代にロンドンでやっていた“ブレックファスト・バンド”っていうバンドなんだけど、唯一のアルバム(『DOLPHIN RIDE』)を、僕がやっているレーベルから再発させてもらったんです。よかったら聴いてみてください。
湯川: ありがとうございます。
長門: (内ジャケットの人物写真を指差して)ちなみに、これがクマさんね(笑)。
湯川: わ〜、細い!今の半分くらいしかないですね(笑)。なんとなく面影はあるけど。
長門: 今は本物の熊みたいに大きくなってる(笑)。
湯川: 昔は痩せてて、すごく格好良かったんですね。
長門: そうそう。すごく格好良かったの(笑)。
湯川: そりゃ、モテますよね。昔は、すごくモテたんだよって聞いていて、半分疑ってもいたんですけど(笑)。
長門: このバンドはスティール・ドラムをフィーチャーした、ブリティッシュ・ジャズ・ファンク・サウンドで、当時、知る人ぞ知るバンドとして、イギリスのミュージシャンにリスペクトされ、すごく人気があったんだよね。
湯川: クマさんも、このバンドのことをよく話していました。みんな、どこにいても、いろいろなもので音を出しはじめちゃうから、すごく騒々しいバンドだったって(笑)。(再びCDの内ジャケを見て)それにしても人に歴史ありですねぇ。
長門: この作品がリリースされたのは1982年だけど、潮音さんが生まれたのは……。
湯川: 1年後の1983年です。
長門: 小さな頃から、お父さんから音楽的な影響を受けていたんですか?
湯川: そうですね。小さい頃から、レコーディング・スタジオとかライヴとか、いろんなところに連れていってもらったりしたので、すごく影響を受けていると思います。
長門: 家では、どんな音楽が流れていたんですか?
湯川: ローリング・ストーンズとかビートルズが印象に残っています。日本のバンドだと、スパイダースとか。あとはAC/DCとかハードロックっぽいものも、よくかかっていた気がします。でも、一番多かったのはクラシックですね。父のレコード棚は、クラシックが一番、多かったですし。
除川: 小さい頃は、遠藤賢司さんのことを“カレーライスを作ってくれるおじさん”だと思っていたんですよね。
湯川: そうなんです(笑)。カレーライスを作ってくださって。父がエンケンさんのバンド(遠藤賢司バンド)でベースを弾いていたので、ライヴにもよく連れて行かれていたんですけど、実はエンケンさんのことが、ずっと怖かったんですよ(笑)。音を出しているというよりも、ボンボンボンボン、色を出しているような印象があって。子供の頃は、“きっと、この人は魔法使いなんだろうな”と思っていました。楽屋に挨拶に行くと、エンケンさんはいつも、チョコレートをくれるんですけど、魔法使いだと思っていたから、楽屋に行くのも怖くて(笑)。いまだに、その癖が残っているから、エンケンさんに会うと、毎回、変な緊張してしまうんです(笑)。
長門: ちなみに潮音さんが最初に触った楽器は?
湯川: 最初に触ったのは楽器じゃなくて機材だったんです。子供の頃から合唱団に所属していたので、自宅で練習のために、MTRで一人多重録音をはじめたんです。トラックごとに自分の声を入れて、ミックスして、ハーモニーの練習をしていました。曲を作りはじめたのも、それがきっかけですね。自宅にある楽器を自己流で演奏して、自分の声を多重録音したものをテープに録音して、EMIのオーディションに応募してました(笑)。その時の曲はAメロからFメロまであるような曲で、しかもサビがなくて(笑)。他にも不協和音をバンバン使った曲があったりして、友達からは“呪われそうな曲だね”って言われていました(笑)。当時、合唱団で、現代音楽をたくさん歌っていたので、不協和音がすごく気持ちよかったんですね。
長門: その後、シンガー・ソングライターとしてデビューを果たすわけだけど、お父さんからは、曲作りをするうえで何かアドバイスを受けましたか?
湯川: アドバイスというか、私が作る曲を常に面白がって聴いてくれましたね。仕事をはじめてからは一人のミュージシャンとして見てくれているので、“この曲のここが、良い!”とか“このギターの音は、どうやって録ったの?”とか、いろいろ聞いてきます。「蝋燭を灯して」というシングルで、ジェームス・イハ(スマッシング・パンプキンズ)と一緒にレコーディングしたときは、本当に羨ましがっていましたね。“俺がやりたかった!”って(笑)。
長門: 彼とは、そもそも、どういう繋がりで?
湯川: 私が出演した『リンダ リンダ リンダ』という映画の音楽を、ジェームスが担当していて、それで出来上がった映画を観たときに、劇中で歌っている私の姿を観て、“彼女は普段、何をしているコなの?”って気にしてくれたみたいで。それでシングルを作るときに、オファーしたら快くオッケーしてくれて。
除川: 劇中で、はっぴいえんどの「風来坊」を歌っていましたが、あの曲は、ご自身でチョイスされたんですか?
湯川: そうです。山下(敦弘)監督からは“「オー、ブレネリ」を歌ってほしい”と言われていたんですけど、“「風来坊」が歌えなきゃ、私、出たくないです”って言ったんですよ(笑)。それで監督をすごく困らせてしまって。
長門: なぜ「風来坊」をチョイスしたんですか?
湯川: リフレインのある曲を歌ってほしいと言われていたんで、“だったら「風来坊」かな?”って(笑)。主人公の女のコたちがステージに到着するまで、場を繋ぐために、アドリブで歌うっていうシーンだったんですけど、今思えば、「風来坊」って高校生の女のコが咄嗟に思い付く歌じゃないですよね(笑)。

長門: 最初に自分で買ったレコードは覚えていますか?
湯川: 確かSPEEDかPUFFYだったと思います。中学生の頃ですね。合唱団に所属していて、流行の音楽が流れていなかったので、たぶん、みんなが聴いていたような音楽を聴きたかったんだと思います(笑)。
長門: たしかにトーベンくんはSPEEDとかPUFFYとか聴かないだろうし(笑)。
湯川: でも、父の方から“PUFFYのCD貸してくれない?”とか、頼まれていました(笑)。
長門: 普段は、どのあたりでレコハンをされてるんですか?
湯川: ずっと住んでいたというのもあって、中央線沿線が多いですね。
除川: 買ってきたレコードをトーベンさんと一緒に聴いたりするんですか?
湯川: はい。父は新しモノ好きなので、私が買ってきた新譜をよくチェックしてます。換わりに私が父から、昔の洋楽のアルバムを借りたりもしますし。アルバムの貸し借りは割と頻繁にしていますね。
長門: じゃあ、“俺のレコードに触るんじゃない”とか、そういうのはなかったんだね。
湯川: そうですね。ただ、私、たまに盤を出しっぱなしにしちゃったりするので、そういうことに対しては、すごく怒ります。レコードやCDを私が雑に扱うと、雷が落ちるんです(笑)。“1枚の作品を作るのに、どれだけの労力がかかっていると思うんだ!”って。
長門: まさに作り手ならではの気持ちだね。
湯川: 音楽はもちろん、その物自体も大切にしていくという姿勢は、作る側も持ち続けていかなきゃいけないことですね。
長門: では、最後に、湯川さんが影響受けた5枚のレコードを教えてもらおうかな。
湯川: はい。
「 植木等 / 無責任時代 」
  −大人がフザけている感じが、すごく面白いと思って−
 私、幼稚園の頃の2大アイドルが植木等さんと志村けんさんだったんです(笑)。言葉の意味は全然、わからなかったんですけど、一緒になって「スーダラ節」を歌っていました。大人って、全員、真面目でちゃんとしていなきゃいけないと思っていたんですけど、植木さんや志村さんを見て、中にはそうじゃない人もいるんだなって(笑)。楽しそうだなあと純粋に思いました。

「 ビートルズ / ビートルズ・フォー・セール 」
  −家で頻繁に流れていたので自然に好きになっていました−
 ビートルズを好きになったのはとにかくそのメロディに魅力を感じたことで、どんな人達か、なんというグループかもわからない頃から口ずさんでいました。ビートルズを知ってから、関連人脈を辿って、メリー・ホプキンとかドノヴァンといったアーティストも聴くようになりました。楽曲としては、私の1stミニ・アルバムの『tide & echo』で「because」をカヴァーしています。どのアルバムも同じように好きなんですけど、ここ最近は、初期の作品を聴く機会が多いので、今日は、このアルバムを選びました。

 「 カーラ・ボノフ / ささやく夜 」
  −1人で歌うことの魅力に目覚めることとなった1枚−
 高校の学園祭で、合唱団以外ではじめて人前で歌ったのが、このアルバムに収録されている「Water Is Wide」だったんです。この曲がなかったら、ソロ・シンガーとして活動していなかったかもしれません。そういう意味でも、すごく思い入れの強い曲です。17歳のとき、EMIに送ったデモテープにも、この曲のカヴァーを収録しました。『リンダ リンダ リンダ』の劇中でも、この曲を歌っています。

 「 ブリジット・セント・ジョン / ソングス・フォー・ザ・ジェントルマン 」
  −本当によく聴いていて、常に手が届く場所に置いてあります−
 来日した時に、ライヴを観にいったんですけど、本当に感動しました。ライヴ後に自分のCDを持って、ご挨拶しにいったんですけど、すごく大らかで朗らかな方で、さらに感動してしまって(笑)。私、MP3プレイヤーを持っていなくて、外出する時は、いつもCDを持ち歩いてCDウォークマンで聴いているので、パッケージがボロボロになってしまって。

 「 ブルース・コバーン / 雪の世界 」
  −ジャケットも含め、作品全体の世界感が好きです−
 10代の頃、しばらく男性シンガーの歌ばかり聴いていた時期があったんです。当時好きだったアーティストは、トッド・ラングレン、ピーター・ゴールウェイ、ボニー・プリンス・ビリー、ジェームス・テイラーとか。アルバムでいえば、この作品になります。すごく地味なんですけど、タイトルから作品全体の雰囲気まで、すべてが、しっくりときて、今まで何度も繰り返して聴いています。

 「 東京少年少女合唱隊 定期演奏会vol.54 
    & L.S.O.T シニア&ユース・コア 定期演奏会vol.18ライブ / 降誕説に歌う 」
  −合唱隊で学んだことが私のルーツになっています−
 2005年の演奏会を収めたライヴ盤です。このアルバムはキャロルとか、クリスマスの唄とか、そういう楽曲がメインに入っています。合唱隊に所属していた頃に歌った民謡だったり、いろんな歌が、やっぱり今の自分に大きな影響を与えてくれていると思うんですね。自分のルーツを振り返る意味でも、すごく重要な作品だと思って選びました。


〜湯川潮音さんの6枚〜
植木等
/無責任時代
<廃盤>
ビートルズ
/ビートルズ・フォー・セール
EMIミュージック TOCP-51114
カーラ・ボノフ
/ささやく夜
ソニー SRCS-9238

ブリジット・セント・ジョン
/ソングス・フォー・ザ・ジェントルマン
エアー・メイル・レコーディングス AIRAC-1456
ブルース・コバーン
/雪の世界
エアー・メイル・レコーディングス AIRAC-1413
東京少年少女合唱隊 定期演奏会vol.54 & L.S.O.T シニア&ユース・コア 定期演奏会vol.18ライブ
/降誕説に歌う


  mints Barでは、時間の経つのも忘れて、音楽談義が続いています。

湯川潮音さんのオーダー
マルガリータ
テキーラ 1/2
ホワイトキュラソー 1/4
レモンジュース 1/4
スノースタイル

news!!
    レコミンツ(PART-1&2)にて、下記の湯川潮音関連のCDをお買い上げの方に、
    オリジナル特典(本人サイン入りオリジナル・ポストカード)をプレゼントいたします!
    数に限りがございますので、お早めにお買い求め下さい。
       ○灰色とわたし
       ○雪のワルツ
       ○紫陽花の庭
       ○湯川潮音
       ○うたのかたち
       ○tide & echo

○灰色とわたし ○雪のワルツ ○紫陽花の庭

○湯川潮音 ○うたのかたち ○tide & echo


※特典付き商品は、完売致しました。





     (注)グッド・タイム・ミュージックの流れる店、mints Barは架空の店です。

mints Barは、コチラのお店をお借りして、撮影しています。


ラウンジバー瑠璃
東京都中野区新井1-7-1
カーサトモエビル1階
Tel : 03-3387-7906



第二十四夜  おわり



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