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| 長門: |
佐橋君の初ソロ・アルバム『TRUST ME』が『-Deluxe Edition-』として再発されて、話題になっているけれど、そもそも、今回の再発は、当時、エグゼクティヴ・プロデューサーを務めていた山下くんが言い出したことなの? |
| 佐橋: |
そうです。去年の暮れぐらいに達郎さんから“お前のアルバムもそろそろ再発しないとな”って言われて、心の中では、結構、先になるのかなと思っていたんですけど、意外にスムーズに話が進んでしまって(笑)。あの作品が発表された‘94年当時はCDっていうメディア自体、音質の部分で、かなり問題があったので、今回、達郎さん立会いのもと、リマスタリングをしたんです。そうしたら見違えるように音が良くなって。また、せっかくの再発なので、特典もつけたいなと思って、音楽評論家の天辰保文さんに司会をお願いして、ブックレット用に僕と達郎さんの対談を収録しました。あとCD-EXTRAには、ジョン・ホールとのセッションを収録した映像も入っています。 |
| 長門: |
そんな映像があるなんて知らなかったものね。 |
| 佐橋: |
レコーディングに先駆けて、達郎さんが当時持っていた、スマイル・ガレージというスタジオで、来日したジョン・ホールと一緒にセッションをしたんですけど、達郎さんがまるで運動会のお父さんみたいな感じで(笑)、その光景をハンディ・カメラで録ってたんですよ。そのときの映像を編集したものが今回オマケで付きます。しかも達郎さんは凝り性だから、音まで綺麗にリマスタリングして(笑)。 |
| 長門: |
佐橋君に頼まれて、ジョン・ホールに映像使用の許諾もらうんで、彼の選挙事務所や自宅宛に、何通もメールを送ったけど、なかなかつかまらなくて参ったよ。ちょうど大統領予備選の真っ最中だったこともあって、1ヶ月以上追いかけて、やっと快諾の返事が届いたときはホッとした。 |
| 佐橋: |
ジョンは、民主党の下院議員になってるんですよね。その節は、いろいろお世話になりました。 |
| 長門: |
当時、『TRUST ME』は、たしかジョン・ホールとのレコーディングからスタートしたんだよね。その後、渡米して現地のミュージシャンとレコーディングすることになるわけだけど、アメリカには一人で行ったんだっけ? |
| 佐橋: |
エンジニアの山口州治さんと二人ですね。当時はプロツールズが無いので、莫大なマスター・テープを抱えて帰国しました。“これって‘90年代の『BAND
WAGON』だよね”とか言いながら(笑)。 |
| 長門: |
本当にそうだよね(笑)。現地のミュージシャンにはどうやって、アプローチしたの? |
| 佐橋: |
まず、クレイグ・ダーギにコンタクトを取ったんですよ。“ザ・セクションのメンバーと一緒にやりたいんで、メンバーを集めてくれませんか”って。それでクレイグが調べたら、ラス・カンケルとリー・スクラーが、ちょうどジミー・ウェブのレコーディングで、サンフランシスコにいるということが判明して。“そこに俺とお前が行けば、レコーディングできるじゃないか”という風に言われたんですよ。それで土日が休みだからっていうことで、スタジオまで押しかけたんです(笑)。サンフランシスコではダニー・コーチマーを除いたザ・セクションのメンバーと、その後、L.A.に移動してビル・ペインとか、今は亡くなってしまったカルロス・ベガとか、ジェームス・テイラー周辺のミュージシャンとレコーディングをして帰ってきました。デヴィッド・キャンベルと初めて仕事をしたのも、この時ですね。デヴィッドと打ち合わせしているときに、“最近ウチの息子がデビューして”って話になったんですけど。それがベックだったんですよ。 |
| 長門: |
その頃って時期的には? |
| 佐橋: |
もう『ルーザー』はヒットしていましたね。それで“あれ、俺の息子だよ”って言われて。“え!? 僕、東京で普通にCD買いましたよ”みたいな(笑)。それ以降、デヴィッドとは何度も一緒にお仕事させてもらっていますね。 |
| 長門: |
出来上がった作品を聴いて、当時、山下くんは何て言っていた? |
| 佐橋: |
いまだに言われますけど、“この時期に、こういう作品を作ろうと思うなんて、お前は本当に変わっている”って(笑)。その当時、スタジオ・ミュージシャンが作るソロ・アルバムって、テレビの天気予報のバックに流れているようなフュージョンっぽいものが多かったじゃないですか。僕は、そういうものを絶対に作りたくなかったんです。10代の頃から影響を受けてきたアメリカン・ミュージックを、自分なりに昇華した作品を納得いくまで作りたいなと思っていたから。でも、結果として、このアルバムを発表した頃から、『山下達郎シングス・シュガー・ベイブ』や、ティン・パンの再結成ライヴに参加させてもらったりして、自分がずっと憧れていた方々と仕事でご一緒できるようになって。そういう方々と出会えるきっかけになったのが、もしかしたら、あのアルバムだったんじゃないかって。自分に正直に作ってよかったなって思います。 |
| 長門: |
まさに『TRUST ME』だね(笑)。 |
| 佐橋: |
またしても、うまい!(笑)って、なんか事前に二人で打ち合わせしたみたいじゃないですか(笑)! |
| 長門: |
(笑)!ちなみに、ソロ・アルバムの第二弾は考えているの? |
| 佐橋: |
達郎さんから出せ出せって言われているんです。そうなってくると、次はマッスル・ショールズ周辺の連中かなと。でも数年前にマッスル・ショールズ・スタジオはなくなっちゃってミュージシャン達はナッシュヴィルに移り住んでいるみたいで……。で、達郎さんは“俺が行きたいから、ナッシュヴィルに行こう!”って盛り上がっているんですけど、なんで達郎さんのためにナッシュヴィルまで行かなきゃいけなんだって(笑)。でも、ソロ・アルバムの構想は自分の中で膨らみつつあるので、いつか、ちゃんとした形で作品にしたいですね。 |
| 長門: |
ちなみに今後の予定は? |
| 佐橋: |
9月から藤井フミヤくんの25周年ツアーが始まります。あと小坂忠さんのニュー・アルバムのプロデュースをやらせていただくことになりました。これは、オーティス・レディングとMG’s、もしくは、アル・グリーンとホッジス兄弟みたいな雰囲気の作品になると思います。4人編成の決め打ちバンドを作って、その演奏に乗せて忠さんが歌うという内容です。年明けに出るので今から楽しみにしていてください。 |
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