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| 長門: |
今までに5枚のオリジナル・アルバムを発表してるけど、もともとどんな流れでソロ作品をリリースすることになったのかな? |
| 高田: |
ある日、惣さん(鈴木惣一朗)から、“漣くん、ソロ・アルバム出すから。もう決まったから”って、突然、電話がかかってきて(笑)。
今思えば、それが良かったのかもしれないですけど(笑)。 |
| 長門: |
それが1stアルバムの『LULLABY』? |
| 高田: |
はい。でも、『LULLABY』を出した頃は少なからず自分の中で葛藤があったんです。
あの作品でカヴァーしている70年代の音楽はもちろん大好きなんですけど、プレイヤーとして自分が指向している音楽と必ずしも一致しない部分もあったので。明らかに自分の思っている感じと違うふうに聴かれているんじゃないかと思ったり。
音像的にシカゴ音響派っぽい録り方を取り入れたり、指向していたのはそういう方向だったんですけど、あまりそういった部分はクローズ・アップされなくて。
2枚目のアルバムあたりまで、そういう葛藤を引きずっていたんです。 |
| 長門: |
でも、たしかに親父受けはするけど(笑)、確実に今の時代とリンクする音だと思うけど。 |
| 高田: |
懐メロっぽい感じやイージー・リスニングっぽい感じになってしまうのはどうしても避けたかったんですね。
だからテンポとか音の質感にはすごくこだわりましたし。 |
| 長門: |
漣くんのアルバムって心地いんだけど……なんか怪しいカンジが漂っているんだよね(笑)。 |
| 高田: |
ははは。ありがとうございます(笑)。
まさにそういう作品を目指していたので、すごく嬉しいです。 |
| 長門: |
どこかにモンドな香りがするんだよなあ。エスキヴェルとか好きでしょう? |
| 高田: |
大好きです(笑)。
アルヴィノ・レイを知ったのも、彼がエスキヴェルの楽団で演奏していたからだし。 |
| 長門: |
エスキヴェルといえば、ハース・マルチネスがエスキヴェルと昔、一緒にプレイしたことあるようなこと言ってた気がするなあ。
ハースは13才の頃からミュージシャンとして活動しているから。 |
| 高田: |
ああ、ハースはもともとジャズとか、そっちの畑の人ですもんね。 |
| 長門: |
彼はザッパとも一緒にやってたり、子供の頃にミュージシャン・ユニオンに登録して、ずっとプロとして、いろんなところでプレイしてたっていう。 |
| 高田: |
へ〜。 |
| 長門: |
そうそう。冒頭でヴァン・ダイクの話をしたけど、彼は今、ビル・フリーゼルと一緒にレコーディングしているって言ってたね。もう5曲ぐらい録ったらしいけど。 |
| 高田: |
いいですね〜。
ビル・フリーゼルしかり、ここ最近、フリー・ジャズの世界の人たちが、アメリカの深層部に近づいてきているのが、すごくおもしろいなと思って。 |
| 長門: |
そのプロジェクトには今すごく期待しているんだけど、なかなか進まないみたい。 |
| 高田: |
そうでしょうね(笑)。 |
| 長門: |
ヴァン・ダイクがもうすぐ古希を迎えようとしている今、そういうことをやるというのが面白いし、頼もしいよね。 |
| 高田: |
僕はヴァン・ダイク・パークスにもすごく影響を受けていて。アレンジを意識して音楽を聴くようになったのも、たぶんヴァン・ダイクからの影響だと思うんです。 |
| 長門: |
彼のアレンジは独特だからね。 |
| 高田: |
そうなんですよね。ストリングスが入っていても決してクラシカルじゃないというか。ああいう違和感みたいなものがずっと好きだったんです。
あとは単純に、うちの親父が“ヴァン・ダイク、ヴァン・ダイク”って言っていたので、耳に名前が残っちゃったのかもしれません(笑)。中川イサトさんとか皆さんが、その名前を言うので。そういう刷り込みも実はすごくあると思います。 |
| 長門: |
そういえば、漣くんのフェイヴァリットでもあるランディ・ニューマンの1stアルバムも彼がプロデュースしてたし。 |
| 高田: |
ランディ・ニューマンは初期の作品がすごく好きで。高校生の時によく聴いていましたね。
その頃は、渋谷系ブーム華やかなりし頃で、そこに対する反発もあったのかもしれません。絶えず、渋谷系とは縁の遠いような音楽ばかり聴いていましたから。
それが今や、小山田圭吾くんと一緒に演奏してるんだから不思議な縁だと思いますね(笑)。
小山田くんとは普段聴いている音楽もすごく似ているんですよ。
僕のマネージャーの初仕事が、小山田くんが主宰していたトラットリア・レーベルの立ち上げで、それ以降、ずっと小山田くんの担当をしていたんです。
小山田くんにYMOを聴かせたのも実は、うちのマネージャーなんですよ(笑)。 |
| 長門: |
面白いつながりだね。
アルバムの話に戻ると、3枚目の『RT』あたりから徐々に自分が試してみたかったことを形にできるようになってきたのかな。 |
| 高田: |
そうですね。『RT』では、ニューウェイヴっぽいニュアンスをさりげなく出したりして。
とはいえ、そういったニュアンスをどこまで出していいのか、それはそれで悩みましたけど(笑)。 |
| 長門: |
次のアルバム『12 notes』では、すごくいろんなアプローチを試している印象を受けたけど、あの作品は割と思い通りに? |
| 高田: |
そうですね。『12 notes』に関しては、割と何をやってもいいという条件だったので(笑)。
あの時期になってくると、自宅である程度、録音作業をできるようになっていたので、基本的には7割方完成しているデモ・テープがあって、それを上手いプレイヤーに差し替えていただくというような作業だったんです。
そういう意味では、スタジオに入った時点で青写真ができあがっているから自分がやりたいことを割と忠実に形にできましたね。その反面、できあがった時の感動もちょっと薄いんですけど(笑)。 |
| 長門: |
プリ・プロの段階でほぼ出来あがっているわけだからね(笑)。 |
| 高田: |
その反動もあって次のアルバム(『Evening on this island』)では、ほとんどデモ・テープを作らずにレコーディングに臨んだんです。
ベースの鈴木正人くん(LITTLE CREATURES)とドラムの芳垣安洋さん(ROVO、Altered States etc…)と一緒にスタジオに入って譜面を見ながら演奏して。
このアルバムの曲は基本的に全部書き譜に従って演奏しているんです。クリックなしに譜面を読みながら集中して演奏をするっていう。すごく面白いレコーディングでした。 |
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