mintsBar 今夜のお客さまは 高田漣さん です  

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”今夜のお客様は高田漣さんです。“
【高田 漣 たかだれん プロフィール】
1973年、日本を代表するフォークシンガー・高田 渡の長男として生まれる。
少年時代はサッカーに熱中し、14歳からギターを始める。
17歳で、父親の旧友でもあるシンガーソングライター・西岡恭三のアルバムでセッション・デビューを果たす。
現在は、スティール・ギターをはじめとするマルチ弦楽器奏者として細野晴臣、高橋幸宏、ハナレグミ、アン・サリー、畠山美由紀、Human Audio Spongeなどのレコーディングやライヴで活躍中。
ソロ・アーティストとしても今までに5枚のアルバムをリリース。
その他、青柳拓次、伊藤ゴローとの共同プロジェクト、通称『御三家』シリーズ、SAKEROCKとASA-CHANGとのユニット『サケロックオールスターズ』等、幅広く活動中。
2007年春〜プリングルズ グルメ、ヱビス<ザ・ホップ>のTVCMに出演。同年夏、高橋幸宏の新バンド構想の呼びかけにより、原田知世、高野寛、高田漣、堀江博久、権藤知彦の計6人で「pupa」結成。2008年7月、デビュー・アルバム『floating pupa』をリリース。同年、崔洋一監督によるショートフィルム「ダイコン」(小泉今日子主演)の音楽を担当。同年6月、英・ロンドンのロイヤル・フェスティバル・ホールで開催された『メルトダウン・フェスティバル』にYellow Magic Orchestraのサポート・メンバーとして出演。

高田 漣 公式ホームページ
http://www.tone.jp/artists/takadaren/
除川: いらっしゃいませ。mints barへようこそ。
高田: ご無沙汰しております、長門さん。
長門: ようこそいらっしゃいました。
漣くんとは、前々からじっくりお話してみたいと思っていたんです。
高田: 僕も知り合いのミュージシャンからお店の噂は聞いていたので、早くお邪魔したいなと思っていて。
長門: 今日はゆっくりしていってくださいね。
高田: はい。ありがとうございます。
除川: 早速ですが、お飲み物はいかがいたしますか?
高田: それではギネスをお願いします。

長門: 僕が最初に漣くんと声を交わしたのは、2007年7月に日比谷野音で行なわれた細野さんのトリビュート・イベント(『細野晴臣と地球の仲間たち 〜空飛ぶ円盤飛来60周年! 夏の音楽祭〜』)の打ち上げ会場でしたね。そこでヴァン・ダイク・パークスと漣くんのツー・ショット写真を撮って。
マネージャーさんに送っておいたけど、受け取った??
高田: はい。あの時は本当にありがとうございました。
長門: あの時、漣くんとヴァン・ダイクが一緒にいるというその光景がね。僕の中ではとても感慨深くてね。
お父さんの高田渡さんが細野さんのプロデュースでL.A.に行って、ヴァン・ダイクも参加して
『FISHIN' ON SUNDAY』をレコーディングしたでしょう。あの時、本当だったら僕は細野さんのマネージャーとして現地に同行するはずだったんだ。でもパスポート申請が間に合わなくてさ(笑)。
高田: あ、そうだったんですか。
長門: その後、1988年にヴァン・ダイクの初来日公演が実現したんだけど、公演後、中野サンプラザの楽屋で小倉エージさんとかター坊(大貫妙子)もいて、そこへ鈴木惣一朗くんやピチカートファイヴのみんなも来て、サインもらったりしてたところにふらっと渡さんが現れて、「高田渡と申します」って言って、名刺差し出されて。
そして、渡さんが「ヴァン・ダイクさんは僕のことを覚えているのかなあ?」って言うから、“もちろんですよ!”って答えたんだけど(笑)。
高田: その話、親父からも聞いたことあります(笑)。
そういえば、トムスキャビンの麻田浩さんに話を聞いたんですけど、『FISHIN' ON SUNDAY』をレコーディングしていた時、隣のスタジオでジャクソン・ブラウンが『プリテンダー』を録っていたらしくて。麻田さんはジャクソン・ブラウンの方のスタジオにいたみたいなんですけど、“どうも隣の部屋に渡とか細野さんが来ているらしい”ってドアを開けたら、渡がヴァン・ダイクの肩を揉んでいたっていう(笑)。
長門: ははは。僕もその場にいたら渡さんとお知り合いになれたかもしれないんだけど、結局、ちゃんとした接点がないままに時が過ぎてしまって。それが、いまだに心残りで。
高田: そうなんですね。僕はてっきり長門さんと親父は接点があるものだとばかり思っていました。
でも、『FISHIN' ON SUNDAY』が出た頃から細野さんもYMOに活動が移っていったりして、うちの親父も全然違うフィールドで活動するようになったので、なかなかお会いする機会がなかったかもしれないですね。
長門: そういう流れから考えても、今、漣くんがYMOと一緒に演奏しているというのはすごく興味深くてね。
高田: 自分でも、すごく不思議な感じがします。
僕、普段はあまり緊張しないほうなんですけど、さすがにYMOの最初のリハーサルは緊張しましたね(笑)。
その時点で細野さんや(高橋)幸宏さんとは既に仕事でご一緒していたんですけど、3人が揃う現場は初めてだったので。
長門: 教授とは、その時が初対面?
高田: はい。会う前はすごく緊張していたんですけど、顔を合わせるなり、教授のほうから“シバは元気?”って話しかけてくれて。
その晩、食事をご一緒したんですけど、その時も、友部正人さんの話題でひとしきり盛り上がって。
長門: ああ。教授は、もともと友部正人さんのバックで演奏していたからね。
昔のことを知らない人は、友部さんと教授の関係とか、すごく意外に思うんだろうけど。
高田: 僕もその頃の話はさすがに人づてでしか知らないですね(笑)。
長門: 漣くんが物心ついた頃、もうYMOは活動を始めていたのかな?
高田: そうですね。僕は1973年生まれなんですけど、運動会の入場曲が「ライディーン」だったりして、すごくヒットしていた記憶があります。
当時、“トリオ・ザ・テクノ”としてお笑い番組で漫才をやったり、僕の大好きな江口寿史先生の漫画によく登場していたので、そういう意味でも子供心にすごく気になる存在でした。
長門: でも、YMOのレコードは家に置いてなかったでしょう(笑)?
高田: あったかな〜(笑)。
親父はある時期に、すごく大量にレコードを売ったらしいんです。たとえば、あるバンドがあったとしたら、そのバンドのルーツになっているミュージシャンのレコードだけを手元に置いておいて、それ以外のレコードは全部売ってしまったらしくて。だから70年代以降のレコードは、レオン・レッドボーンとか特殊なアーティスト以外、まったく家になかったんですよね。
でも……さすがにYMOは聴いていなかったと思います(笑)。
長門: やっぱり(笑)。
高田: そういえば、僕が子供の頃、テレビにYMOが出ているのを観て、親父に向かって“お父さんも、こういう音楽やったらいいのに”って言ったら、すごく落ち込んでしまったことがあったみたいで(笑)。
その話が僕のマネージャーから流れ流れて幸宏さんに伝わって、“漣くん、面白いね”って話になって、僕をセッションに呼んでくれるようになったんです。

長門: ところで漣くんは、そもそもどういうキッカケでスティール・ギターを弾き始めたんですか?
高田: 大きな理由が2つあるんですけど、まずは長門さん的な理由から話しますね(笑)。
10代の頃に大好きだったギタリストがエイモス・ギャレットとジェリー・ガルシアだったんですけど、二人とも指に爪をつけてギターを演奏していたので、僕も真似して、サムピックを付けてギターを弾いていたんです。
それと同時にライ・クーダーとかローウェル・ジョージも好きだったから、スライド・ギターにも興味を持つようになって。それで、両方のスタイルでプレイするようになったんですけど、ある時期から、だんだん面倒くさくなってきて、“そもそもスティール・ギターを弾けばいいんじゃないか?”と思うようになったんです(笑)。
わざわざ変則的なチューニングにしたり、ライヴに何本もギターを持っていくのも面倒くさいし。
だったら小さいラップ・スティール・ギターと、アコースティック・ギター1本で事足りるんじゃないかって。
長門: なるほど。
高田: それで、いざラップ・スティール・ギターを買いにいったんですけど、運悪く僕が行った楽器店には置いていなかったんですよ。
でも、足の付いているハワイアン・スティール・ギターは置いてあったんですね(笑)。
最初はマヒナスターズみたいだなと思ったんですけど、じっと眺めているうちに、子供の頃に見たYMOの演奏シーンが浮かんできて(笑)。
除川: たしかに演奏している姿は鍵盤奏者みたいですもんね(笑)。
高田: それで辛抱たまらずに買っちゃって。
シンセサイザーを弾くように立ちながら演奏できるっていうのは、当時の自分にとってすごく新鮮だったんです。それが2つ目の理由ですね。
で、ちょうどその頃、参加していたのがテクノとかダブを演奏するバンドだったんですけど、そのバンドでトラックを作っていたのが、いまやジャパニーズR&Bの大御所トラックメイカーになっているD.O.I.で。彼らの影響からクラフトワークとかあのあたりのバンドをちゃんと聴くようになっていたんです。
それで、いわゆるニューウェイヴやテクノ・ポップと、スティール・ギターをなんとか融合できないかと家に引き篭もってひたすら実験するようになって。
その時の努力がYMOの現場でようやく実を結んだというか(笑)。
長門: スティール・ギターを演奏するにあたって、たとえばバディ・エモンズだとか、お手本にするようなプレイヤーはいたんですか?
高田: プレイヤーでいうと、アルヴィノ・レイやロイ・スメックが好きです。
バディ・エモンズが出現する以前は、楽器自体の演奏法が定まっていなかったので、みんな適当にそれぞれのやり方で演奏しているんですね。その時代のプレイヤーは大好きなんですけど、ステレオタイプな奏法が浸透してしまった以降のプレイヤーには、まったく興味が持てなくて。
ペダル・スティール・ギターは楽器的にあまり発展がなかったんで、演奏パターンが画一化されているんですよ。だからある時期から、スティール・ギター奏者の作品はほとんど聴かなくなってしまいましたね。

長門: 今までに5枚のオリジナル・アルバムを発表してるけど、もともとどんな流れでソロ作品をリリースすることになったのかな?
高田: ある日、惣さん(鈴木惣一朗)から、“漣くん、ソロ・アルバム出すから。もう決まったから”って、突然、電話がかかってきて(笑)。
今思えば、それが良かったのかもしれないですけど(笑)。
長門: それが1stアルバムの『LULLABY』?
高田: はい。でも、『LULLABY』を出した頃は少なからず自分の中で葛藤があったんです。
あの作品でカヴァーしている70年代の音楽はもちろん大好きなんですけど、プレイヤーとして自分が指向している音楽と必ずしも一致しない部分もあったので。明らかに自分の思っている感じと違うふうに聴かれているんじゃないかと思ったり。
音像的にシカゴ音響派っぽい録り方を取り入れたり、指向していたのはそういう方向だったんですけど、あまりそういった部分はクローズ・アップされなくて。
2枚目のアルバムあたりまで、そういう葛藤を引きずっていたんです。
長門: でも、たしかに親父受けはするけど(笑)、確実に今の時代とリンクする音だと思うけど。
高田: 懐メロっぽい感じやイージー・リスニングっぽい感じになってしまうのはどうしても避けたかったんですね。
だからテンポとか音の質感にはすごくこだわりましたし。
長門: 漣くんのアルバムって心地いんだけど……なんか怪しいカンジが漂っているんだよね(笑)。
高田: ははは。ありがとうございます(笑)。
まさにそういう作品を目指していたので、すごく嬉しいです。
長門: どこかにモンドな香りがするんだよなあ。エスキヴェルとか好きでしょう?
高田: 大好きです(笑)。
アルヴィノ・レイを知ったのも、彼がエスキヴェルの楽団で演奏していたからだし。
長門: エスキヴェルといえば、ハース・マルチネスがエスキヴェルと昔、一緒にプレイしたことあるようなこと言ってた気がするなあ。
ハースは13才の頃からミュージシャンとして活動しているから。
高田: ああ、ハースはもともとジャズとか、そっちの畑の人ですもんね。
長門: 彼はザッパとも一緒にやってたり、子供の頃にミュージシャン・ユニオンに登録して、ずっとプロとして、いろんなところでプレイしてたっていう。
高田: へ〜。
長門: そうそう。冒頭でヴァン・ダイクの話をしたけど、彼は今、ビル・フリーゼルと一緒にレコーディングしているって言ってたね。もう5曲ぐらい録ったらしいけど。
高田: いいですね〜。
ビル・フリーゼルしかり、ここ最近、フリー・ジャズの世界の人たちが、アメリカの深層部に近づいてきているのが、すごくおもしろいなと思って。
長門: そのプロジェクトには今すごく期待しているんだけど、なかなか進まないみたい。
高田: そうでしょうね(笑)。
長門: ヴァン・ダイクがもうすぐ古希を迎えようとしている今、そういうことをやるというのが面白いし、頼もしいよね。
高田: 僕はヴァン・ダイク・パークスにもすごく影響を受けていて。アレンジを意識して音楽を聴くようになったのも、たぶんヴァン・ダイクからの影響だと思うんです。
長門: 彼のアレンジは独特だからね。
高田: そうなんですよね。ストリングスが入っていても決してクラシカルじゃないというか。ああいう違和感みたいなものがずっと好きだったんです。
あとは単純に、うちの親父が“ヴァン・ダイク、ヴァン・ダイク”って言っていたので、耳に名前が残っちゃったのかもしれません(笑)。中川イサトさんとか皆さんが、その名前を言うので。そういう刷り込みも実はすごくあると思います。
長門: そういえば、漣くんのフェイヴァリットでもあるランディ・ニューマンの1stアルバムも彼がプロデュースしてたし。
高田: ランディ・ニューマンは初期の作品がすごく好きで。高校生の時によく聴いていましたね。
その頃は、渋谷系ブーム華やかなりし頃で、そこに対する反発もあったのかもしれません。絶えず、渋谷系とは縁の遠いような音楽ばかり聴いていましたから。
それが今や、小山田圭吾くんと一緒に演奏してるんだから不思議な縁だと思いますね(笑)。
小山田くんとは普段聴いている音楽もすごく似ているんですよ。
僕のマネージャーの初仕事が、小山田くんが主宰していたトラットリア・レーベルの立ち上げで、それ以降、ずっと小山田くんの担当をしていたんです。
小山田くんにYMOを聴かせたのも実は、うちのマネージャーなんですよ(笑)。
長門: 面白いつながりだね。
アルバムの話に戻ると、3枚目の『RT』あたりから徐々に自分が試してみたかったことを形にできるようになってきたのかな。
高田: そうですね。『RT』では、ニューウェイヴっぽいニュアンスをさりげなく出したりして。
とはいえ、そういったニュアンスをどこまで出していいのか、それはそれで悩みましたけど(笑)。
長門: 次のアルバム『12 notes』では、すごくいろんなアプローチを試している印象を受けたけど、あの作品は割と思い通りに?
高田: そうですね。『12 notes』に関しては、割と何をやってもいいという条件だったので(笑)。
あの時期になってくると、自宅である程度、録音作業をできるようになっていたので、基本的には7割方完成しているデモ・テープがあって、それを上手いプレイヤーに差し替えていただくというような作業だったんです。
そういう意味では、スタジオに入った時点で青写真ができあがっているから自分がやりたいことを割と忠実に形にできましたね。その反面、できあがった時の感動もちょっと薄いんですけど(笑)。
長門: プリ・プロの段階でほぼ出来あがっているわけだからね(笑)。
高田: その反動もあって次のアルバム(『Evening on this island』)では、ほとんどデモ・テープを作らずにレコーディングに臨んだんです。
ベースの鈴木正人くん(LITTLE CREATURES)とドラムの芳垣安洋さん(ROVO、Altered States etc…)と一緒にスタジオに入って譜面を見ながら演奏して。
このアルバムの曲は基本的に全部書き譜に従って演奏しているんです。クリックなしに譜面を読みながら集中して演奏をするっていう。すごく面白いレコーディングでした。

長門: 去年は高橋幸宏や原田知世さんと一緒にやっているバンド、pupa(ピューパ)の活動も話題になって . . .
高田: pupaはある意味、CSN&Yみたいなバンドなんです。
それぞれの活動があって、pupaで得た刺激をまたそれぞれの活動に反映させていくっていう。
長門: それにしてもすごいメンバーが集まって。
高田: ああいう音楽をやろうと思うと、どうしても一緒に出来る人が限られてしまうんですね。
歌ものも出来て、エレクトロニカも出来てというミュージシャンはあまりいないので。
長門: 噂で聞くところによるとpupaは、すごく民主的なバンドらしいですね(笑)。
高田: そうですね。楽曲に関しては書いてきた人が主導になって作業を進めていくんです。そこにみんなで味付けしていって。
基本的には、その日、その場で、調子がいい人が何かをやるという感じですね。だから、いい意味で責任の所在がはっきりしてないんです。年齢差も関係なく意見を交し合えるし。
唯一、年功序列が残っているのは幸宏さんが全員の食事代を持ってくれる時ぐらいで(笑)。
長門: (笑)。ちなみに次にソロ・アルバムを作るとしたら、どんな作品になりそう?
高田: 実は今、アルバム3枚分ぐらいのイメージが出来上がっているんですよ。ただ、それが全部バラバラなんですね(笑)。
ひとつは、ほぼ自分は演奏せずに譜面だけを書いた作品。今は弦楽四重奏に興味があるので、そういうものを作ってみたいんです。
あとはジャーマン・テクノみたいな作品とか、あるいはスウィングっぽい作品とか。
あまりにもやりたいことがバラバラなので、今はそれをひとつの作品として、どうやってパッケージしたらいいのかなと考えているところです。
長門: きたるべきニュー・アルバムを今から心待ちにするとしましょう。
では、最後に漣くんが影響を受けたアルバムを教えてもらえるかな。

〜高田漣さんが影響を受けた5枚〜

 「 クラフトワーク / Ralf & Florian 」
  −スティール・ギターを弾き始めた頃に勇気付けられた一枚−

まずは初期のクラフトワーク。これは彼らの3枚目のアルバムです。
でもメンバーが流通を認めていないようで、今は残念ながら入手困難になっているんです。
このアルバムに収録されている「Ananas Symphonie」という曲で実はスライド・ギターが使われているんですね。『アウトバーン』以降のクラフトワークのイメージとは違う、ちょっとハワイっぽくてエスキヴェルにも通じるモンドな曲なんですけど。
ちょうどスティール・ギターを弾き始めた頃に聴いたので、“自分がやろうと思ってることは、あながち間違いじゃないんだな”って、すごく勇気付けられた思い出があります。


 「 細野晴臣 / ハリー細野クラウン・イヤーズ1974-1977 」
  −いまや細野さんは公共の財産ですから(笑)−

この時代の細野さんの作品はいつ聴いても本当に凄いなと思ってしまいます。
『泰安洋行』に至ってはあまりにも好きすぎて、雑誌で好きなアルバムを聞かれた時とか、あえて外すようにしています(笑)。
このボックス・セットで何が嬉しかったかといえば、中華街ライヴの映像がようやくオフィシャルな形で観れたこと。また細野さんの近年の企画盤はすべてそうなんですけど、ブックレットも非常に充実していて。
こうやって詳細なアーカイヴが残れば、細野さんの音楽をこれから聴く人達のためにもなりますし。いまや細野さんは公共の財産ですから(笑)。
僕も細野さんの作品や発言を通じて、ホーギー・カーマイケルやマーティン・デニーとか、いろんな音楽家を知ることができたので。
いまでも一緒にリハーサルをしていると、カヴァーしようと思っている楽曲のいろんなヴァージョンをCD-Rに焼いてメンバーのために持ってきてくれるんです。まさに“細野学校”という感じですごく勉強になります。


 「 YMO / テクノデリック 」
  −細野さんのベースが最も堪能できるアルバムだと思います−

YMOは子供の頃から大好きだったんですけど、のめりこんで真剣に聴くようになったのは大学生の頃からです。
その頃、ハワイやアイルランドの音楽ばかり聴いていたんですけど、どうせだったら日本にいる強みみたいなものを感じたいなと思ったんです。
そのときに、東京ならではの音楽をやっている人たちを聴いてみようと思って、ぱっと思い浮かんだのがYMOとムーンライダースだったんです。
YMOはどのアルバムも全部好きなんですけど、インタビューのときにいつも挙げているのが『テクノデリック』で。なぜかというと、このアルバムでは細野さんのベースが最も堪能できるから。
クラウン時代の作品でもベースは聴けるんですけど、どうしても楽曲の凄さのほうに耳がいってしまって。
純粋に細野さんのべーシストとしての名演となると、僕はこのアルバムに収録されている「LIGHT IN DARKNESS」だと思います。
それに、散解前のYMOのアルバムの中で、もっとも生楽器が多く使用されているんですね。教授も生ピアノを弾いているし。そういう意味でも今の自分の感覚にすごくしっくりくるんです。


 「 ブライアン・イーノ / アポロ 」
  −ダニエル・ラノワのスティール・ギターの取り入れ方に影響を受けました−

たまたま選択していた大学の授業で、バウハウスとかジョン・ケージとか、カート・ヴォネガットとか、いわゆるポストモダンと呼ばれていたカルチャーを総合的な視野で見る目を養いましょうみたいな授業があって。その授業の一環でブライアン・イーノの『アポロ』を聴いたんです。
U2のプロデュースをしていたのも、ロキシー・ミュージックのメンバーだということもなんとなく知っていたんですけど、当時、ブライアン・イーノというミュージシャンには、さして興味がなくて。
でも、このアルバムを聴いたら、ダニエル・ラノワのスティール・ギターがものすごくフィーチャーされていて、それをきっかけに興味を持つようになりました。
このアルバムもクラフトワークの『Ralf & Florian』同様、スティール・ギターを演奏する上で、自分をすごく勇気づけてくれた作品です。ダニエル・ラノワにもすごく影響を受けているんですけど、彼に関して言えば、演奏というよりもスティール・ギターの取り入れ方に自分は影響を受けているのだと思います。


 「 V.A. / Anthology Of American Folk Music 」
  −この作品に収録されているような音楽が自分にとってのルーツ−

たとえばアイルランドの人がロック・バンドをやっていても、古典の民族音楽を口ずさめるのと同じような感覚で、僕は子供の頃にアメリカの古いフォーク・ソングをさんざん聴いてきたので、そういう意味では、この作品に収録されているような音楽が自分にとってのルーツといえるでしょうね。
今でもこういう音楽は脳を介さずに演奏できるので(笑)。
うちの親父がやっていたヒルトップ・ストリングス・バンドという弦楽器を主体としたバンドの演奏を子供の頃によく観ていた影響も、すごく強いのかなと思います。普通、子供ってライオンとかキリンとかの絵を描くと思うんですけど、僕は子供の頃バンジョーの絵を描いていたんですよ(笑)。
それぐらい弦楽器が身近にあったんです。
ジョン・セバスチャンとの出会いも、こういう音楽を自分から進んで聴くようになった大きなきっかけのひとつになっているように思います。
僕はラヴィン・スプーンフルが大好きだったんですけど、彼らの作品を聴いているうちに、徐々にカヴァーが多いことに気がついたんですよ。
時々、うちの親父が歌っている歌に似ている曲があって、“あれ?”とか思ったり。それでいろいろ紐解いていったら、アメリカの古い音楽に行き着いたんです。
ちょうど、ジョン・セバスチャンが気になりはじめた頃に、親父が“お前、こんなの知ってるか”?ってバンジョーのレコードを聴かせてくれたことがあって。
それは当時の若手バンジョー奏者の演奏ばかりを集めたレコードだったんですけど、そこに若かりし日のジェリー・ガルシアやロジャー・マッギンの演奏が収録されていたんですね。
別に反発していたわけじゃないですけど、当時の僕は親父が聴いていないようなロックばかり聴いていたつもりだったのに、そのレコードを聴いたことで“結局は繋がってるんだな”ということに気がついて。そこから、さらにこの手の音楽に興味が沸いてきたんです。


〜高田漣さんが影響を受けた5枚〜
KRAFTWERK
/RALF & FLORIAN
<輸入盤(廃盤)>
PHILIPS/CROWN COLLECTION
細野晴臣
/ハリー細野クラウン・イヤーズ1974-1977
クラウン CRCP-20386
YMO
/テクノデリック
SMEJ MHCL-209
BRIAN ENO
/APOLLO
<輸入盤 VIRGIN 63647>
V.A.
/ANTHOLOGY OF AMERICAN FOLK MUSIC
<輸入盤>
SMITHSONIAN FOLKWAYS SFWCD40090

  mints Barでは、時間の経つのも忘れて、音楽談議が続いています。

高田漣さんのオーダー
ギネスビール


    news!!

レコミンツPART-1にて、以下の高田漣 関連CDをお買い上げの方に
先着でオリジナル特典(高田漣さん直筆サイン入りオリジナル・ポスト・カード)をプレゼントいたします!
数に限りがございますので、お早めにお買い求め下さい

○ 高田漣 / Evening on this island \1,575(税込)
○ 高田漣 / Ballads -anthology of early years- \2,500(税込)
○ 高田漣 / 12 notes \2,940(税込)
○ 高田漣 / RT \2,500(税込)
○ 高田漣 / WONDERFUL WORLD \2,500(税込)
○ 高田漣 / LULLABY \2,300(税込)

○高田漣
/ Evening on this island
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○高田漣
/ Ballads
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『recomints PART-1』までご来店、もしくは通信販売にてご購入戴けます。
『recomints PART-1』の詳細はコチラ(電話番号もコチラでご確認戴けます)。
お気軽にお問い合わせ下さい。


■高田漣さんコメント

    LIVE INFORMATION

●2009.12.24 Thu @恵比寿ザ・ガーデンホール
   細野晴臣プロデュース・ライブ「映画を聴きましょう」

     開場 / 開演:18:00 / 19:00
     出演:細野晴臣グループ
          (細野晴臣・浜口茂外也・コシミハル・今堀恒雄・高田漣・伊賀航・神田智子・高遠彩子)
         といぼっくす(磯田健一郎・大城正司・木ノ脇道元・啼鵬・高田元太郎・齋藤孝ほか)
     チケット:前売¥7,800(全席指定)
     チケット取扱:チケットぴあ 0570-02-9999
              ローソンチケット 0570-08-4003  
              イープラス
              ※未就学児童のご入場はお断りいたします
     お問い合わせ:ホットスタッフプロモーション 03-5720-9999(平日16時?19時)



●2009.12.28 Mon @横浜Thumbs Up
   小坂忠 ~Chu's Garden Vol.2~

     開場 / 開演:18:30 / 19:30
     出演:小坂忠(Vo/G)Asiah(Vo)林立夫(Per)上原ユカリ(Dr)Dr.Kyon(Key)高田漣(G)鈴木正人(Bass)
         下山淳(G/Rock'n Roll Gypsies)山口洋(G/Heat Wave)イシイモモコ(Cho)藤井真由美(Cho)
     チケット:前売¥4,000
     お問い合わせ:Thumbs up 045-314-8705
               トラミュージック 03-3355-4131


●2010.02.03 Wed @香川・丸亀市民会館
   NHK「あなたの街で夢コンサート」

     開場 / 開演:17:30 / 18:30(終演予定20:00)
     ゲスト:加藤登紀子、高田漣
     演奏:広島交響楽団
     指揮:円光寺雅彦 他
     お問い合わせ・観覧申込:NHK高松放送局 087-825-0160
                       (受付時間:平日 午前10時~午後6時)
長門: 今日も面白い話をたくさん聞けたね。ご苦労さま。
除川: どういたしまして。長門さんこそお疲れ様でした。
長門: 今年はこれでおしまいか。
あっ、そうだ。ちょっと急なんだけど、しばらくお店を離れて、旅に出ようかと思っているんだよ。
除川: ええっ、本当ですか?
長門: この3年半で41組、本当に素敵なひとたちが訪ねてきてくれたよね。みなさんそれぞれのバックグラウンドや音楽への強い想いもわかって、僕も大きな刺激を受けてね。今一度、グッド・タイム・ミュージックの正体を探ってみたくなったというわけさ。
除川: そうなんですか。寂しくなりますね。
長門: 置き土産に、僕からのクリスマス&ニュー・イヤー・プレゼント、ベアズヴィル・ボックス・セットとピーター・ゴールウェイの『TOKYO SESSIONS 1989』を渡しておくから、お客さんにもよろしく伝えてね。じゃあ、頼んだよ。
除川: わかりました。留守中しっかりやっておきます。
長門: 折に触れて連絡入れるから。見つけた素晴らしい音楽の話はその時にね。お楽しみに!
mintsBarは、今回を持ちましてお休みさせていただきます。
長い間ご愛読ありがとうございました。
またの機会まで、皆様ごきげんよう。
○ベアズヴィル・ボックス・セット
(ビクター VICP-70131〜4 / \10,000(税込) / 完全生産限定CD4枚組(SHM-CD仕様)
/ 資料・写真満載のブックレット付 / 全曲歌詞付/ 2009.12.16発売)

長らく入手困難となっていた“幻のベアズヴィル・ボックス”が高音質SHM-CDで13年ぶりに奇跡の大復活!!
レーベル設立&ウッドストック・フェス40周年のメモリアル・イヤーに振り返る、伝説の名門レーベルの全貌。
ボーナス・トラック5曲、うち世界初CD化3曲を特別に追加収録した堂々の計84曲!
■監修:長門芳郎
■ライナー・ノーツ:ピーター・ヤーロウ/ピーター・バラカン/長門芳郎
■インタビュー協力:ボビー・チャールズ/エイモス・ギャレット/フェリックス・キャヴァリエ他



○ピーター・ゴールウェイ/TOKYO SESSIONS 1989

(ドリームズヴィル RATCD4280 / \3,990(税込) /完全生産限定CD+DVD /  2010.1.20発売)

1989年夏、元フィフス・アヴェニュー・バンドのピーター・ゴールウェイ&マレイ・ウェインストックがジャパン・ツアーのため、来日した際、FM東京(現TOKYO-FM)のレコーディング・スタジオで行なわれた夢のレコーディング・セッション!
参加したのは、佐橋佳幸(ギター)、湯川トーベン(ベース)、野口明彦(ドラムス)、中山努(キーボード)、鈴木祥子(コーラス/ドラムス)、田島貴男(コーラス)、ブレッド&バター(コーラス)らゴールウェイを敬愛する日本のトップ・ミュージシャンたち。
『フィフス・アヴェニュー・バンド』、『オハイオ・ノックス』、『ピーター・ゴールウェイ』、『オン・ザ・バンドスタンド』といった名盤収録の名曲を中心に、後に『スモール・グッド・シング』で発売される新曲を含むゴールウェイ作品を演奏した幻の音源が20年の時を経て遂に登場する。
当時のマルチ・マスターが佐橋佳幸の監修の下、完全リミックス!
プロデュース:長門芳郎

CD : PETER GALLWAY TOKKYO SESSIONS 1989 
日本人ミュージシャンも飛び入り参加した「ライク・ア・ローリング・ストーン」(東京公演)をボーナス・トラックとして収録。全12曲。
DVD : ピーター・ゴールウェイ、マレイ・ウェインストック、アズテック・トゥー・ステップによる名古屋公演の貴重なライヴ映像。全16曲。
■ライナーノーツ:ピーター・ゴールウェイ/マレイ・ウェインストック/長門芳郎
■コメント:佐橋佳幸/湯川トーベン/野口明彦/中山努/鈴木祥子/田島貴男/ブレッド&バター
■未発表写真多数掲載
※ DVDの映像は、1989年当時、記録用に撮影されたVHSテープに編集を加えたものです。商品化を想定して撮影されたものではなく、さらにテープの経年劣化のため、お見苦しい箇所があることを予めご了承ください。





     (注)グッド・タイム・ミュージックの流れる店、mints Barは架空の店です。

mints Barは、コチラのお店をお借りして、撮影しています。


ラウンジバー瑠璃
東京都中野区新井1-7-1
カーサトモエビル1階
Tel : 03-3387-7906



第四十一夜  おわり
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